大分県南地域に赴任して楽しみにしていたのは朝市めぐりだ。臼杵魚市場では毎週土曜日に開かれると聞き、勇躍「うすき海鮮朝市」に乗り込んだ。だが、始まったばかりのはずなのに場内の人影はまばらだった。
一、二カ所少し人が集まっているところがあるくらいだ。肩すかしを食った気分になったが、とりあえず人のいる方へ向かってみた。
数も種類も少ないが魚を売っていた。18日の日誌で紹介したカマガリを見つけた。その時は「臼杵市の資料を見ると、カマガリの標準和名はクログチとある。臼杵ではご飯を釜ごと借りて食べたくなるほど美味い魚という意味で『釜借り(カマガリ)』と呼ぶようだ」と書いた。
他には何がと見ると、アジやマナガツオ、甲イカがあった。記念すべき朝市めぐりの第一歩だからと思って、丸アジ、マナガツオをそれぞれ一尾、甲イカを一杯、写真を取り忘れたサザエが一盛り5個を購入した。
臼杵市名物のレースケ(標準和名クロアナゴ)も見た。朝市の常連に聞くと、「こんなに少ないのは初めてだ」と言う。確かに前日まで強い風が吹いており、魚があまり揚がっていないのではないかと懸念はしていた。こんなこともある。次回に期待だ。
ところで、この朝市の良さはもう一つある。市場で買った魚を無料で三枚におろしてくれるサービスがあるのだ。さばいてくれるのは大分県立津久見高校海洋科学校の生徒たち。いろんな魚をおろすことで腕も上がるし、社会経験にもなるということのようだ。ちょっと包丁さばきに覚束ないところも見えたが、無料というのはありがたい。
さて、丸アジは醤油などに漬けた大分の郷土料理「リュウキュウ」に、甲イカは刺身で、マナガツオとサザエは焼いて、カマガリは煮て、どれもおいしくいただきました。
うらやましい限りです。臼杵の魚はどれも新鮮で美味しそう。魚好きには堪りませんね。
臼杵の朝市はこぢんまりしたものです。ただ、経験を積むために地元の高校生が無料で魚をおろしてくれるのが最大の魅力。うろこを落とし、内蔵を取り、三枚におろすのは面倒な作業です。時間はかかりますが、朝市で買った魚をそこでさばいてもらうのは、とても助かります。