農業よりも漁業が危機?

臼杵魚市場前の港に係留された漁船。大分県南の港では日常的な風景だ。 農業よりも漁業の方が後継者不足が深刻らしい。臼杵市が「漁業担い手育成交付金」を新たに設けた。市内で新たに漁業に従事しようとする45歳以下の人に奨励金30万円を支給するほか、生活安定資金として月10万円を最長24カ月支給する。ただ、そのために確保した予算は本年度174万円。どうだろう。ちょっと少ない気もするが。

  実は本年度の目標が1人だからだ。

 農業と漁業の単純比較はできないだろうが、新規就農で臼杵市は実績を上げている。2010(平成22)年度の新規就農者数は12人だったが、翌年度は20人に増え、その後も17人、22人、19人、20人と確実に確保している。

 新規就農と比べると、新規漁業者獲得の目標は随分と控えめに見える。農業よりも漁業の方が後継者を見つけるのが難しいということか。

 臼杵市の漁業を取り巻く環境がよそより劣っているということはない。むしろ、単価が高い一本釣りの漁業者が多く、1kg当たりの平均単価は大分県の平均が389円なのに対し、臼杵市は727円と倍近いという。

 魚種別ではタチウオが最も多く、イワガキ、マアジ、カマガリ、サザエと続く。特にタチウオは大分県内一の生産量だという。うかつにも臼杵市が一番だったとは知らなかった。

 というのは県内国東市の道の駅「くにさき」にあるレストラン「銀たちの郷」の売り物はタチウオ料理で、食べに行ったことがある。それで「タチウオは国東」と思い込んでいた。

 余談はそれまでとして、臼杵市の漁業の現状はなかなか厳しい。大分県漁業協同組合臼杵支店の正組合員193人のうち70代が58人で60代が56人。これに対し、20代は4人、30代は8人にとどまる。超高齢化している。臼杵魚市場の土曜朝市に通う身としては「うまい魚がいつまで食えるだろうか」と大いに不安になる。

 これは臼杵市だけの問題なのか。もっと根本的な問題なのか。制度や規制が時代に合わなくなって漁業への新規参入を阻んでいるのか。

 大分県全体ではどうだろう。「県政だより新時代おおいた」の3・4月号の特集が新時代おおいたの表紙を飾った久城さん「明日の農林水産業を担う新しい力」だった。漁業で取り上げられたのは埼玉県からIターンした久城真志さん。「関あじ」「関さば」で知られる大分市佐賀関で新たに一本釣りの漁師として独立した。

 佐賀関では毎年1~2人の研修生を受け入れ、ベテラン漁師が先生になって指導している。

 大分県全体ではどうか。大分県の農林水産業の新規就業者の推移県が作成した県内の農林水産業新規就業者の推移を示すグラフがある。これで平成22(2010)年度と26(2014)年度を比較すると、農林水産業はともに増えている。ただ、直近3年間で見ると、水産業は頭打ちとも読めなくもない。そういえば「農業女子」「林業女子」という言葉は聞いたことがあるが、「漁業女子」はない気がする。農業、林業に比べても漁業に対する関心が低いということだろうか。

 ならば、もう少し危機感を煽った方がいいかもしれない。

 興味のある方は「全国漁業就業者確保育成センター」のホームページを。

 

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