ふるさと納税”競争”曲

 「競争」か。「狂騒」か。もう善しあしではない。「とにかくバスに乗り遅れるな」。それが首長の本音だろう。ふるさと納税をいかに増やすか。国が音頭を取っているから自治体間の獲得合戦は熱を帯びるばかりだ。ふるさと納税の年度別推移(総務省のふるさと納税現況調査)佐伯市、津久見市、臼杵市も例外ではない。ふるさと納税額のランキングなぞ出された日には心穏やかにはおられまい。否応なしに参戦せざるを得ないのだ。
7日に佐伯市長の定例記者会見があった。定例会見は毎月1回あり、今回披露されたのが「ふるさとさいき応援寄附金」プロモーションビデオ(PV)だった。

 ビデオは 8分13秒と少々長めだ。「浦島太郎」の物語を下敷きに「山の幸」「海の幸」が豊富な佐伯は竜宮城より魅力的だとPRしている。佐伯、津久見、臼杵3市では佐伯市がふるさと納税獲得に最も積極的だ。

 2015(平成27)年度の実績を見ると、ふるさと納税の受け入れ額は約2億8000万円で、前年度の約652万円の40倍以上の激増ぶりを示した。年度途中で、ふるさと納税に対する返礼品を増やした効果がてきめんに現れた。その分、経費もかかった。前年度が約140万円だったのが、約1億5256万円に膨れ上がった。

 本年度はさらに7000万円を上積みし3億5000万円を目標とするが、経費も約2億円と5000万円増を見込む。臼杵市が本年度に見込む経費が5000万円だから、その4倍になるが、全国的にみれば、おとなしい方かもしれない。

 そもそも納税といっても、よその市町村に税金を納めるのではない。寄付をするのだ。寄付した分、本来は自分が住んでいる市町村に納める税金から差し引かれる。

 大ざっぱに言えば、住民税を10万円払わなければいけない人が、1万円をよその市町村に寄付すると、その分を引いて住民税が9万円に軽減される仕組みだ。総務省はふるさと納税を促進しようと税控除額の上限を引き上げた。

 その結果、どうなったか。ふるさと納税受け入れの上位市町村(総務省の現況調査より)昨年10月に総務省がふるさと納税の現況調査報告を出した。それによると、15年度上半期(4~9月)の全国の自治体のふるさと納税受け入れ額は約453億円で前年同期比約3.9倍、受け入れ件数は約228万件で同約3.7倍と急伸した。

 場合によっては高額な返礼品を使ってでも寄付金(ふるさと納税)集めをせざるを得ない。「ふるさとチョイス」を見ていると、そんな気分にもなる。そこはモノであふれ、たくさんの選択肢がある。例えば「ランキングでチョイス」を見ると、みんなが選ぶTOP30があり、肉、米・パン、果物、野菜、菓子など品目ごとに順位が付けられている。まさに競わされている。

 昨秋の総務省の現況調査によると、ふるさと納税に対する返礼品を送っていない自治体は170団体で全体の9.5%にとどまった。今はどうだろう。もっと減っているのではないか。

 個人的には、ふるさと納税は本来の寄付のあり方とは違うと思ってきた。しかし、黙って住民税を払っているのは「正直者が馬鹿を見ている」ような気分になる。これでいいのだろうか。

 

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