「金の卵」はどこに行った

 佐伯市の高校を卒業して佐伯市の企業や官公庁に就職した人数は。答えは「分からない」。

 では、佐伯市内の高校を卒業し、市外の大学に進んだ若者が佐伯市に戻って、市内の企業などに就職した数は。これも分からない。

 意外な結果だった。

 佐伯公共職業安定所(ハローワーク)は高校生の就職者状況をまとめている。ただし、佐伯職安管内の佐伯、津久見、臼杵3市の高校生が佐伯職安管内で就職した人数である。佐伯市の高校卒業生の何人が佐伯市内の企業などに就職したかは、この統計では分からない。

 佐伯市の高校に市外から通っている生徒もいるだろうから、厳密に市ごとの数字を出すのは手間がかかりすぎるのかもしれない。

 では、最近の就職状況はどうだろう。昨春高校を卒業し、就職した生徒数は244人。このうち佐伯職安管内で就職した人数は126人で51.6%。これに対し、管外や県外への就職は118人で48.4%だった。これが今春の卒業生では2月末現在で就職する253人のうち管内114人、管外や県外は139人で54.9%と管内を上回った。

 佐伯商工会議所が開いた地元就職者激励会なぜ、就職の話になったのか。21日に佐伯商工会議所主催の「地元就職者激励会」が開かれた。行ってみると、佐伯市役所や地元の大手企業、病院など14事業所86人の出席者名簿があった。勝手な思い込みだが、もっと小さな企業に入社した若者たちに対し「よくぞ地元に残ってくれた。頑張ってくれ」とエールを送る場だと想像していたのだ。

 激励会参加者の他にも地元で就職した者はいるだろう。地元に残った若者、大学を卒業後に戻った若者は全部何人なのか。あちこち尋ねてみたが、それを把握している部署は市役所にもどこにもないようだ。

 いったん都会に出たものの、条件が整えば郷里に戻りたいと思っている人もいるだろう。佐伯市も8月の夏休み時期にUターン、Iターン希望者などを対象に就職面談会などを開いている、問題は情報がほしいと思っている人にニーズに合った的確な情報が届けられているかだ。

 漫然とやっていても結果は出ない。大分県には「おおいた学生登録制度」があるそうだ。在学中に登録を勧め、Webマガジンで企業や就職情報を配信する。就職後もつながりを持っておけば、将来Uターンしてくるかもしれない。

 かつての高度経済成長時代。地方の若者は労働力不足の都会へとどんどん送り出されていった。中学校を卒業して就職する若者は「金の卵」と呼ばれた。今は少なくなった若者の争奪戦が激しくなっている。余計なことかもしれないが、もう少し危機感を持った方が良い気がする。油断していれば「金の卵」をよそに取られ、争奪戦の敗者に終わる可能性だってある。

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