内閣府の避難実態調査

 「私は当時1歳の子と、臨月のお腹、しかも赤ちゃんが下がっていて張り止めを飲んでおり、避難所でいつ生まれるかドキドキ。ガソリンがなく病院に行って薬ももらうこともできないし、電話もつながらず不安な毎日。そんな中、私がいた避難所1日2回の食事も、外に30分程かけて並ばないともらえない状況。臨月のお腹で1歳の子を抱いて寒い中並ぶのは大変でした。妊婦や小さな子がいる家庭、高齢者などにもう少し優先して(配慮して)あげても良いと思った」

 内閣府が2013(平成25)年にまとめた東日本大震災の避難実態を調査した内閣府の報告書「避難に関する総合的な対策の推進に関する実態調査結果報告書」がある。東日本大震災の被災者支援で何が足りなかったのか、どこに問題があったのか。被災者へのアンケートによって浮き彫りにし、避難所などでの生活環境の改善を進めるために実態調査を行った。

 あらためて読み返してみて、強く印象に残ったのが、妊娠中の女性の声だった。

  アンケートには①災害時要援護者(高齢者や障害者、乳幼児、妊婦、外国人など)に対する避難支援で気づいた点②避難所生活で気づいた点-について自由に意見を書く欄がある。

 冒頭の声はそこに書かれていたものだ。妊娠した女性の声は他にも幾つかあった。

 「当時は2人目妊娠8カ月でした。上の子を抱えての避難はとても1人では難しいと思いました。着の身着のままというわけにもいかず、おむつ、水、母子手帳、軽食などを持つと子どもを抱っこできなくなります。当時は余震も大きなものが何回もくるので結局避難はあきらめました。(略)大震災では妊婦の位置付けを考えていただけるとありがたいです」

 福祉避難所、ペットの問題、ガソリンの欠乏、トイレの衛生など課題は多岐にわたり、避難所生活者と自宅生活者で支援物資の配布に格差があったなどの声も少なくなかった。

 実態調査で明らかになった課題はどこまで改善されたのだろうか。要援護者の支援で被災者が繰り返す言葉は「日頃の近所づきあい」だ。

 「町内会単位で『災害時要援護者名簿』に載せることを同意してもらい、1人に3~5人の近所のボランティアを配置し、年に数度顔合わせをして避難支援について話し合い、お互いに資料を共有する(わが町内会では4年前から実施している)」

 「避難所の運営を自治会で行っている箇所が、A町で1箇所だけあったが、ここの運営は素晴らしかった。寝具、食料、燃料等を全て、この地区民が準備し、連絡係もかねてくれた。こんな対応ができれば本当に素晴らしいと思う」

 避難所運営で以下のような声もあった。「仕事柄(教員)自校の避難所運営にも関わった。震災直後の神戸チームからの支援と助言を得て実践し、有効だったのは次の点である」
①教室を震災以前の自治会区ごとにした
②リーダーを決め、運営の役割分担をした
③毎晩、教員を含めリーダー会議を行った
④毎朝、ラジオ体操と清掃活動を全員で行った
⑤校内は土足禁止
⑥このトイレは小便のみで大便は外のトイレを使った
⑦排泄処理の道具をペットボトルで手作りし、その都度片付けた
⑧避難所でのルールをつくり、掲示し、みんなで共通理解した

 この実態調査報告書を踏まえて自分たちの地域の現状と課題を見つめ直してみたい。

 

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