健診と金利上乗せ預金

記者会見後に写真に収まる佐伯市長(左)と大分県信用組合理事長(右)  佐伯市と大分県信用組合の包括提携商品の記者発表会が25日に佐伯市役所であり、市長と県信用組合理事長が出席した。
包括提携商品とは何か。金利上乗せの定期預金(1年満期)である。上乗せの対象は健康診査(健康診断)を受けた佐伯市民。店頭表示金利(25日現在年0.025%)に年0.20%を上乗せする。自治体の健診の受診率を上げるために金融機関が協力して金利を上乗せした商品を出す。全国でこうした動きが見られる。その背景に何があるのだろうか。
 金利上乗せの対象者は正確には①佐伯市国民健康保険(国保)に入っている30~74歳で特定健康診査の受診者②75歳以上の後期高齢者で健康診査の受診者となる。市民のほぼ半数の37000人近くが対象となる。

 発表会では市長、理事長の挨拶に続いて佐伯市の特定健診の現状の説明があった。佐伯市の特定健診の受診率は2014(平成26)年度が37.7%で、大分県内の市町村国保の平均39.9%に及ばず、下から4番目だという。

 担当課は国保加入者に対し、地道に受診勧奨を行ってきたが、なかなか受診率は上がってこない。佐伯市が進める「0(ゼロ)円健診」そこで進めたのが500円の健診料を無料にする「0(ゼロ)円」健診。15(平成27)年度は30~39歳を対象に、本年度は40~69歳も対象とし、既に無料だった70~74歳も含めてゼロ円の年齢層を一気に広げた。健診率を上げることは悪いことではないが、先を急いでいる感じだ。

 一方、大分県信組が、健診と組み合わせた金利上乗せの定期預金を出したのは佐伯市が初めてではない。昨年4月の宇佐市を皮切りに豊後大野市、大分市、豊後高田市、中津市、国東市と「包括提携商品(金利上乗せ定期預金)」を出してきた。そして、大分県内の他の自治体で今後取り扱いを始める予定もあるという。

 金利上乗せ分は大分県信組の負担だ。「県民のための金融機関として地域貢献は当然」としても、利益がその分減るわけで、経営にマイナスではないかとも思う。

 増え続ける医療費もちろん、こうした地方の動きと国の方針、意向とは無関係ではない。国は増え続ける医療費を何とか抑制しようと懸命だ。健診の受診率を高めて生活習慣病の予防、重症化を防ぎ、医療費を抑えるのも、その一つだ。

 厚生労働省はそのためにアメとムチで健診受診率を高めようとした。しかし、もう一つうまくいかない。そこで国保(都道府県・市町村)のやる気を高める新たな仕組みを導入することにした。受診率を上げるための新たな制度がそれが保険者努力支援制度である。右の表を見てもらいたい。今あるアメとムチは「後期高齢者支援金の加算と減算制度」で健康保険組合も協会けんぽも国保も国保組合にも一律だ。受診率が低ければ支援金の負担を増やし、高ければ減らす。

 しかし、これからは手法が保険者ごとに異なってくる。地方自治体の努力度合いを測る指標国保はペナルティーがなくなり、頑張ったところに手厚い支援をとなる。その指標は左の表になる。指標は大きく①予防・健康づくりに係る4指標と② 医療の効率的な提供への働きかけに係る2指標がある。その中には糖尿病等の重症化予防の取り組みがある。努力の結果の支援が具体的にどうなるかは現段階でははっきりしていないが、頑張っておくにこしたことはない。

 もう一つのキーワードは地方創生である。金融庁は金融機関に対し、地方創生に資する業務の遂行を促している。健診の受診率を高めて、結果、住民の健康寿命を延ばし、長く現役として働くことができる人が増えれば地方の活性化、地方創生に資することになるわけだ。それで信組の融資先、融資量が増えれば、みんなが良しとなるのだろうが。

 

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