市庁舎の違いはどこに

 余計なお世話だろうが、津久見市の庁舎が気になっている。津久見市役所本館は築58年を経過している津久見市出身で競泳の男子200m平泳ぎでリオデジャネイロ五輪代表となった渡辺一平選手を応援する横断幕が4月28日に市役所屋上に設置された。その時も建物を見て思った。「時代物だよな」と。この本館が完成したのが1958(昭和33)年だそうだ。築58年になる。

できて2年の佐伯市役所は堂々たるものだ

 津久見市役所と対照的なのが佐伯市の庁舎である。2年前に完成した(佐伯支局長日誌3月16日「市役所の記者室を訪ねた」で紹介)。

 津久見市と佐伯市の違いは何だろう。一番の違いは市町村合併に加わったか否かである。

 「平成の大合併」と呼ばれた市町村の再編があった。「人口減少や少子高齢化など社会情勢が大きく変わる中、市町村には地方分権の担い手となる基礎自治体にふさわしい行財政基盤の確立が強く求められている」と国は言った。

 厳しい時代を乗り切るには市町村の規模・能力を充実させる必要がある。だから、市町村合併に積極的に取り組むべしと政府は言った。

 政府与党が合併を推進した結果、全国の市町村数は2003(平成15)年度の3132から2005(平成17)年度には1821と一気に減少した。

 合併促進のための「アメ」と言われたのが合併特例債や合併算定替などの国の手厚い財政支援措置だった。1964(昭和39)年に建築され、その後の耐震診断で強度不足と指摘された旧庁舎を取り壊し、建て替える。佐伯市が決断できたのも国の支援制度があればこそだった。

 佐伯市は新庁舎の建設費用を当初56億円と見込んだ。実際の事業費は約45億円に抑えられたが、うち約41億円を合併特例債で賄った。

 いわば1割の頭金(自己資金)と9割のローンで家を建てたようなものだ。ただ、このローンの7割の負担を国が肩代わりしてくれる。

 1市5町3村が合併して誕生した新佐伯市が国の優遇措置を使わない手はない。

 一方、津久見市はどうか。合併しなかった。

 合併するかしないか、新庁舎を建てるか否かは、それぞれの自治体の判断である。ただ、合併したか否かで防災に「格差」が生じるとすればどうだろう。熊本地震では防災拠点となる市や町の庁舎が被災し、使えなくなるケースが相次いだ。

 その一つが宇土市である。「宇土市のあゆみ」によると、市庁舎は1965(昭和40)年に落成した。それが今回の地震で倒壊の恐れから使えなくなった。宇土市も平成の大合併には加わっていない。富合町との合併が不調に終わり、富合町は熊本市と合併した。

 仮に宇土市と富合町が合併して国の手厚い支援措置が受けられたら新庁舎の建設が行われていただろうか。それは分からない。

 ただ、国の政策によって大災害の備えに大きな差がつくとすればどうか。これでいいのか。熊本地震を機にもう一度考える必要がある。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です