見えない無数の善意が

贈呈式の最後に出てきた「おまけ」の義援金 テーブルの上に置かれた透明な容器の中には1円玉や5円玉が詰まっている。一体これは何なのか。そもそもここはどこか。

 答えは佐伯市長の応接室で、容器のお金は義援金だった。

 「熊本・大分地震災害義援金贈呈式の開催について」。佐伯市役所からFAXが送られてきたのは9日の正午過ぎだった。「日時は」と見ると「9日16時00分から」とある。何とも急な話だ。

 FAXには、市内の三浦造船所、三浦造船協力事業協同組合などから災害義援金として約150万円が贈呈されるので、その式を行うとあった。

 これまでも佐伯市には多くの義援金が寄せられている。中学生や高校生が街頭で集めた募金を持ってきたこともある。だが、新聞の記事にはしていない。募金などの話はたくさんあり、限られた紙面では一つ一つを取り上げることはできない。そんな風に考えていた。

 この日も基本的には記事化はしないと判断した。ただ、他に予定がなければ取材はしておきたい。午後4時は空いていた。

 応接室に行くと、既に市長や三浦造船所の三浦唯秀社長ら関係者が顔をそろえていた。用意された約150万円の義援金の贈呈が行われ、関係者が写真に納まった。

 その後だった。紙袋から1円玉や5円玉が入った透明な容器が取り出された。これもついでにと言う。容器のふたには「猛暑de塩飴ボトルミックス」とある。沖縄の塩とクエン酸がプラスされた飴は炎天下の作業時にふさわしい。

 三浦造船協力事業協同組合の事務所に置いていた。自動販売機で飲み物を買うときに1円玉や5円玉は使えない。そんなときに財布にあった小銭を従業員が入れたそうだ。2011(平成23)年3月11日の東日本大震災後に始めた。

 大災害を前にして人は無関心ではいられない。できることがあればと思う。

 「おまけ」の義援金には率直な思いが感じられた。だが、これも珍しいことではあるまい。多くの人が感じていることだ。結果、新聞やテレビで取り上げられることもない、表には見えない無数の善意が被災地へと向かっている。

 そして、復旧・復興に本当に役立つ使い方をしてほしいと切に願っている。

 

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