伊方原発と大分の議会

 愛媛県伊方町にある四国電力伊方原子力発電所3号機の再稼働に59.5%の大分県民が否定的―。大分合同新聞8日付朝刊一面に大きな見出しがあった。参院選の電話世論調査(3~5日)の際に聞いた結果、再稼働に「賛成」10.4%「どちらかいえば賛成」15.7%に対し、「反対」40.1%「どちらかといえば反対」19.4%だったという。

 こうした県民の声は大分県内の市町村議会にも反映されている。各議会は伊方原発に関し、いつ、どんな意見書を出しているのか。そんなことが気になってまとめてみることにした。

 大分合同の調査で、最も多い反対理由が「大地震による重大事故が心配」だったそうだ。四国から大分へと細長く伸びる佐田岬半島の付け根部分に伊方原発がある 南海トラフ巨大地震の影響は。大津波はどうか。誘発地震はないのか。東日本大震災に加え、今回の熊本地震を間近で見て巨大地震と大津波を警戒するのももっともである。

 地図の左側の大分県から突きだした佐賀関半島と四国の西側から細長く伸びている佐田岬半島の間は14km足らず。佐田岬半島の付け根に伊方原発はある。それがもし過酷事故を起こせば風評被害も含め致命的な損害が生じる。

 愛媛県民だけでなく、周辺の大分県民も不安に思っているのだから、大分県でも説明会をしなさい。そう求めたのが臼杵市議会である。

 7月1日に「伊方原発3号機の再稼働に対し、大分県での説明を行い、新規制基準に周辺自治体の同意及び実効性ある避難計画を盛り込むことを求める意見書」が全会一致で可決された。

 その前の6月には中津、別府の両市議会と日出町議会でも意見書が可決された。

 中津は「伊方原発の再稼働と避難計画の再検討を求める意見書」。別府は「伊方原発の再稼働に際し、慎重な対応を求める意見書」。一方、日出の意見書は再稼働中止を求めた。

 もう少しさかのぼってみたい。

 3月には国東市議会で「伊方原発の再稼働の再考と新規制基準の見直し及び実効性のある避難計画を求める意見書」が可決された。

 豊後高田市議会も3月「伊方原発の再稼働中止を求める意見書」を可決した。

  昨年12月には杵築市議会で「伊方原発3号機の再稼働決定の見直しと、新規制基準に周辺自治体の同意及び実効性のある避難計画を盛り込むことを求める意見書」が可決された。

 同じく昨年12月に由布市議会が可決した意見書は伊方原発の再稼働中止を求めた。竹田市議会も同月、「伊方原発の再稼働中止を求める意見書」を可決した。

 昨年12月以降、数えると9市町議会が意見書を可決している。県内18市町村の半数である。これには大分合同新聞の報道も影響していそうだ。大分合同は昨年10月、松山市の愛媛新聞社内に「愛媛伊方特別支局」を開設するなど、積極的に原発報道を行ってきた。

 これが県民の意識に影響を与えたことは間違いあるまい。ただ、それより前に意見書を可決した議会もある。佐伯市議会は2014(平成26)年11月に「伊方原発の再稼働に慎重な対応を求める意見書」を可決した。

 豊後大野市議会は同年3月、「『伊方原発再稼働を見直すこと』及び『脱原発に向けた政策の実行』を求めた意見書」を可決した。

 この時、竹田市議会も「『伊方原発再稼働を考え直すこと』及び『脱原発に向けた自然エネルギー政策促進の実行』を求める意見書」を可決している。

 さらにさかのぼれば2012(平成24)年9月、玖珠町議会、宇佐市議会、杵築市議会が「伊方原発の再稼働に反対する意見書」を可決。同年12月には日田市議会が「玄海・伊方原発の再稼働に反対する意見書」を可決している。

 ここまで見てくると、同じく伊方原発再稼働に関する意見書でも大きく二つに分かれる。単刀直入に「反対」「中止」を求めているものと、そうではないものだ。実質的には「中止」を求めているのかもしれないが、表現の違いが面白い。それぞれの議会の事情が反映されているのだろう。

 ここまで辛抱強く付き合っていただいた方は既にお気づきだろうが、県都・大分市の名前は一度も出てこなかった。大分市議会はどうなのか。意見書は出されていない。不可解な話である。佐賀関半島を抱え、影響が大きいであろう大分市なのに。これは意外な結果だった。

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