伸び代ある津久見観光

 今月5日に第1回津久見市観光戦略会議が開かれた。当日は取材に行けなかったので、後日、会議の資料をもらった。それをパラパラとめくりながら思った。津久見観光は伸びしろありだ、と。やればできるという実例もある。四浦半島の約4千本の河津桜を楽しむ「豊後水道河津桜まつり」がそうだ。

津久見市への年間観光客数の推移 津久見市の年間観光入り込み客数の推移をみてみよう。2010(平成22)年度の約11万人から11(同23)年度は2.4倍増の約27万人になった。同市と大分市の水族館「うみたまご」が約3億円をかけて整備した「うみたま体験パーク つくみイルカ島」が11年4月にオープンしたのが大きい。

 それまで津久見市に本格的な観光施設はなかったといえば言い過ぎか。津久見市の目が観光に向くようになったきっかけは高速道路の開通である。

 2001(平成13)年12月の東九州自動車道大分宮河内(大分市)~津久見間が開通。それとともに年間10万人に達しなかった観光入り込み客数は15万人を超え、20万人に迫った。

 その後、リーマンショックを引き金とした世界的な金融危機などがあって急激に落ち込んだが、イルカ島で再び足がかりを得た。

 観光産業を伸ばしていくこと。これは津久見市の専売特許ではない。観光立国を掲げた政府や大分県が前面に立って音頭を取っている。それに合わせて津久見市も観光戦略会議を設けて、観光産業の将来像を描こうというわけだ。

 同市は国の「観光による地方創生戦略構築事業」で確保した3665万円を使って、2021(平成33)年度までの観光戦略を練り上げる。

 当面の目標は17(同29)年度に観光入り込み客数を35万人に、食観光の売上金額を2800万円にすることだ。津久見市を支えているのはセメント産業。窯業・土石製品製造業の製造品出荷額等は13年が約515億円だった。

 津久見市の地域経済に占める観光産業の割合は小さい。その分、伸びしろ、潜在力がある。観光戦略会議の知恵袋を務める公益財団法人日本交通公社(東京)もそう指摘する。

 観光資源にはランクがある。特A級、A級、B級、C級、D級と分かれる。特A級とはまさに日本を代表する観光資源で、九州では阿蘇山、別府温泉郷や博多祇園山笠などだそうだ。

 A級は特A級には及ばないが、全国的から観光客を集める力があるもの。津久見市の隣の臼杵市にある国宝臼杵石仏があてはまるという。

 残念ながら津久見市にはこのランクの観光資源はない。しかし、と交通公社は言う。「ここだけの特徴的な地域資源がある」。例示するのが、イルカ、河津桜、石灰鉱山、マグロ、保戸島、無垢(むく)島などである。

 小粒だが「ここだけのもの」が津久見にはあると交通公社は評価する。さらにぱっと見では分かりにくいが奥深い魅力があるものもあるという。津久見には宇宙塵やいん石跡もある例えば宇宙塵やいん石跡、セメントの町の歴史をあげる。戦略会議では市民や観光客へのアンケートも行い、現状の把握を行うほか、全国の先進事例の研究や専門家の意見なども聞き、新たな戦略を作り上げていくことにしている。

 さて、冒頭で紹介した「豊後水道河津桜まつり」の見物客は確実に増えている。第4回の今年は53000人だった。その前は31000人、その前年は2万人、最初の年は1万人だった。

 河津桜は四浦地区の人たちが長年にわたって手入れをしてきたものだそうだ。

 戦略会議の資料などを見ていて、あらためて河津桜の「成功」を知った。よそに手本を求めなくても、自分たちの知恵と努力と工夫で魅力を高めていくことができる。河津桜の例はそれを教えてくれているように思えた。

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