ミスマッチを防ぐには

地元就職促進のため行政と企業、学校で意見交換が行われた 人手不足は都会だけの問題ではない。程度の差こそあれ地方も同様だ。「企業間で人の奪い合いが起きているのが実態」。佐伯市内の高校生の地元就職を促進するため行政と企業、学校の代表者が集まった意見交換会では、こんな声も出た。

 地方でよく言われるのが、雇用のミスマッチである。企業側は「欲しい人材が来ない」。一方、学生側は「行きたい企業、業種がない」。

 佐伯公共職業安定所の資料によると、佐伯地区の高校生の地元志向は強い。今年3月の卒業者のうち就職を希望したのは140人。このうち県外希望者は20人、県内は120人で、うち佐伯職安管内での就職希望者は85人を数えた。

 来春の高校卒業予定者も傾向は同じである。佐伯職安の資料では、136人の就職希望者のうち県外希望は20人にとどまる。

 ただ、気になる数字もあった。一番人気がある業種は「生産工程の職業」。要するにメーカー、製造業ということだろう。136人中41人が希望している。この41人のうち県外希望者は10人と多い。さらに、人数は少ないが、県外企業が半数に達する業種もある。建設・採掘の職業を希望する生徒は計6人だが、3人が県外を希望する。

 当然だが、人手不足感が強い業種ほど地域を超えた人材争奪戦が激しくなっている。

 企業側には不満がある。生徒や先生が地元の企業をよく知らない、と。かといって学校が何もしていないわけではない。

 佐伯市の佐伯豊南高校には食農ビジネス科、工業技術科、福祉科、総合学科がある。介護実習がある福祉科を除き、3学科の2年生は全員、今の時期に5日間のインターンシップを経験する。

 それも漫然と企業に生徒を送り出しているわけではない。これまで受け入れてもらった企業、業種の中に生徒が希望するものがないときはどうするか。生徒と話し合い、相手先を探し、受け入れ可能かどうか教師が打診するのだそうだ。

 生徒を含めみんなが努力して折角就職しても、すぐに辞めるのでは元も子もない。企業も学校も行政ももっと話し合うべきではなかろうか。関係者による本音の議論がまだまだ足りない感じがする。

 インターンシップはどれほどの効果を挙げているのか。成果と課題は。高校生の本音は。最初のステップとしてこれを関係者で話し合ってもいい。大分県教育委員会高校教育課に電話して、県内の高校でのインターンシップの実施状況と公表された報告書がないか聞いてみた。

 職業系では全校が実施していると説明を受けた。さらに今夏、普通科の2年生を対象に、大分市で企業説明・企業訪問を含む半日程度の簡易版インターンシップを初めて実施するという。希望者600人程度の参加を見込む。

 そこでは県外の大学から県内企業に就職した先輩たちも登場して話をするという。

 県外の大学などに進み、いざ就職を考えるときに県内企業も考えて欲しいと、県は大分の最新情報を送るための「おおいた学生登録」制度の運用を始めた。夏場はUターン希望者の就職相談会が県内各地で開かれるUターンやIターン希望者などを対象にした就職説明会は夏場に目白押しだ。ちなみに佐伯市では8月12日に予定している。

 いろんなことをやることはいいが、事業の検証も重要である。高校生のインターンシップの成果と課題はどうか。高校教育課に聞くと、内部の報告書はあるが、まとまった資料で公表されているものはないという。

 行政、企業、学校関係者が話し合うにも、その材料が要る。実態報告、現状調査は議論を進める格好の材料になる。新卒就職者の離職率についてもきちんと調査すべきではないか。

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