ツバメが帰ってこない

 7月29日に佐伯市蒲江波当津であった稲刈りの取材に行ったついでに撮ってきた写真がある。6年前に閉校になった波当津小学校 写真は稲刈りが始まった田んぼのすぐ近くにある波当津小学校の校舎である。2010(平成22)年3月末で閉校になった。この2階建ての旧校舎を見ていて気になることがあった。

校舎の壁には崩れてしまったツバメの巣?が 気になったものは左の写真にある。校舎の壁にある黒っぽいもの。ツバメの巣ではないかと思った。もはや使わなくなって崩れたと思える巣が幾つも校舎の壁にあった。

 「人が減り、集落が維持できないぐらいになるとツバメもスズメもいなくなる」。そんな言葉を思い出した。ちょっと前に佐伯市在住で武石宣彰さんが出版した「野の鳥と めぐる季節に鳥をたずねて」フォトエッセイ「野の鳥と めぐる季節に鳥をたずねて」を自費出版した武石宣彰さんの話を聞いていた。武石さんはバードウォッチャー歴47年。会話の中で、上記のことを伺った記憶がある。

 波当津地区の人口の推移をみてみよう。「蒲江町史」によると、1965(昭和40)年が309人だった。それが、1985(昭和60)年には199人となった。最近は2005(平成17)年が175人、10(同22)年は154人、昨年は133人(いずれも4月現在)となった。このペースで行けば10年以内に100人を割り込むことになる。

 集落を維持できるのだろうか。佐伯市内には65歳以上の高齢者が人口の半数以上を占める「高齢化率50%以上」の地区が110ある。

 高齢化率50%以上の地域に重なるようにして「山村」「離島」「辺地」が合計195地区ある。市としては、こうした地域に若者が入ってきてほしい。移住・定住してほしい。

 そのために移住・定住のための補助制度を新たにし、佐伯市の新たな移住・定住補助制度を説明した資料名前も「ようこそ佐伯住まいるサポート事業補助金」としました―。2日の佐伯市長定例会見で改めて制度の概要説明が行われた。

 上の表は見にくいが、山村や離島、辺地に移住し、住宅を新築したり、購入したりする子育て世帯などに10万円を定額補助(支給)する。これが今回の補助制度の目玉の一つになる。

 これまでなかった仲介手数料や家財処分、引っ越しの補助金も設けた。新たな補助と従来の家屋の新築、購入、改修で上限100万円の補助で最大145万円の助成が受けられるという。

 さらに、住宅の新築や購入、改修の補助で従来は「建設費用が1000万円以上」などの条件を付けていたが、これも撤廃したと市担当者。いかにして他の自治体よりも魅力ある条件を提示できるか。自治体間の競争が熱を帯びている。

 さて、冒頭波当津小学校を紹介したので、その歴史を「蒲江町史」から抜き出してみたい。

 波当津小は1874(明治7)年に波当津学校として開校。その後、丸市尾(まるいちび)学校波当津分教場となるなど変遷を経て、1960(昭和35)年に独立の波当津小になった、とあった。

 築24年の鉄筋校舎はまだ使えそうだ1992(平成4)年に鉄筋コンクリート2階建ての校舎が完成。ただ、児童数は2004(平成16)年2月時点で男子6人、女子2人の計8人。小さな学校の存続はだんだんと難しくなっていった。

 2005(平成17)年3月、佐伯市と蒲江町など5町3村が合併し、新「佐伯市」が誕生。それとともに各地で小中学校の再編、統合も進められることになった。旧蒲江町では08年3月末で尾浦小学校が、10年3月末に波当津小学校が、11年3月末に猪串小学校がそれぞれ廃校になった。

 そして、蒲江地区では来春、残った小学校も一つに統合されることになっている。

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