主役は最後に退場した

最後までサインに応じた渡辺一平選手 あまり見かけない光景だった。この日の主役がペンを走らせている後ろで会場の片付けが始まっていた。12日午後7時から、津久見市民会館で「渡辺一平選手報告会」が開かれた。がらんとした会場から最後に出て行く渡辺選手。流れ解散のような形で報告会が終了したのは午後8時半を過ぎたころ。最後まで残ったのが渡辺一平選手。津久見市民の応援に感謝の気持ちを表した―ということのようだ。

 渡辺選手は男子平泳ぎのリオデジャネイロ五輪の日本代表。200m平泳ぎでは準決勝で五輪新記録を出し、メダル獲得の期待が高まったが、決勝では惜しくも6位にとどまった。

 出身地の津久見市では100mの予選、200mの予選、準決勝、決勝と市民会館の会議室を開放。市民を挙げて応援しようと大型テレビを置いてパブリックビューイングを開催した。

 あれから1カ月。地元に戻る渡辺選手を迎えて凱旋(がいせん)報告会が企画された。それがこの日の会合だった。

 リオ五輪での活躍をたたえて津久見市の川野幸男市長から市長賞詞が贈られた。ちなみに渡辺選手が市長賞詞の第一号だそうだ。

 津久見ミカンを受け取る渡辺選手さらに、津久見ミカン、マグロの贈呈と続く。どちらも津久見の特産品である。その後、渡辺選手が通った幼稚園の園児による「金メダル」の授与、花束を贈られて笑顔を見せる渡辺選手小学生から高校生の代表による花束贈呈も行われた。さて、もらって本人が一番嬉しかったのは手作りの「金メダル」だったようだ。メダルには「オリンピックレコード おめでとう」と書いてある。

 ここで、渡辺選手からのリオ五輪報告と東京五輪に向けた決意表明となった。リオ五輪後は「くやしい思いしかない」とまず一言。早稲田大の先輩の坂井聖人選手とは「2人でメダルを取ろうと励まし合っていた」。その坂井選手が男子200mバタフライで銀メダルを獲得した。

 ならばと男子200m平泳ぎの準決勝は「世界新を目指して」臨んだ。その結果、五輪新を記録し、トップ通過した。誰もが決勝でのメダルを期待したが、「一番期待したのが自分自身。結果、勝負にこだわり過ぎたかも」。

 だから、2020年の東京五輪に期するところがある。目標はずばり「世界新記録で優勝。金メダル」と宣言した。

 子どもたちの質問に答える渡辺選手ここで報告会もヤマ場を越えた。午後7時45分。後は会場の子どもたちなどからの質問に答えるコーナーに移った。リオ五輪の選手村のこと、食べ物のこと、平泳ぎのことなどの質問があって午後8時ごろには一段落した。ここでお開きかと思ったら、本人の申し出で握手会をしますとなった。

 後輩たちに握手を求められ笑顔も弾むここから会場の雰囲気は一段となごんできた。渡辺選手の笑顔も増えた。握手だけではなく、記念写真を撮る人もいる。サインを求める人もいる。求めに応じてTシャツにサインをしていく着ているTシャツに書いてもらっている。子どもたちだけでなく大人も。持っていたうちわに書いてもらう人も。それも一つではなく、幾つも。それも気軽に応じていく。

 トップ選手とはこういうものなのか。「プロ意識」を見た気がした。

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