山椒とマグロと冬の鍋

 久しぶりに津久見の話題である。津久見市長の定例記者会見が30日にあった。そこで出た話題の一つが「まぐろ山椒(さんしょう)鍋」。その名の通り、津久見名産のマグロと山椒を使った鍋だという。津久見は高品質な山椒の産地なのだそうだ。知らなかった。

 4年前の大分合同新聞に津久見の山椒の記事が奈良県から移住した人が最初に栽培に取り組み、地域に広がっていったという。移住が9年ほど前というから、これまでに地元紙の大分合同新聞に取り上げられたことがあるだろう。

 津久見市民図書館には新聞の切り抜き帳(スクラップブック)がある。それをめくっていくと「24.5/31」の手書きがある目当ての記事が見つかった。

 2012(平成24)年5月31日付の記事によると、サンショウの栽培を始めたのは奈良県から津久見市松川に移住して新規就農した佐藤寛次さん。当時63歳。佐藤さんは2007(平成19)年11月に、山間のミカン栽培地域に移り住んだ。農地30aを切り開き、知人らとともに翌年、サンショウの苗木を植えた。

 その後も毎年、苗木を植え続けたが、苗木の枯死などもあり、移住5年目にしてようやく初収穫を迎えた。

 記事は佐藤さんらの歩みと収穫の様子、今後の課題をまとめている。課題は用途開発と記事は書く。

 サンショウは津久見名産のミカンと同じ仲間で、山野に自生があるほど風土にあった作物。高い品質が期待でき、国内的にも南に位置しているため、早い出荷が可能で市場的にも有利という」。記事は津久見市のサンショウ栽培は有望との見通しを示す。

 記事は続き「佐藤さんらは『まぐろ料理やちりめんの加工、料理や菓子などにさまざまな用途がありそう。一緒に考えてほしい』と話している」と結んだ。

冷凍のサンショウの実が1パック280円だった 津久見市役所によると、実際、京都の卸売市場で評価を得ているという。市内で販売しているのかと聞くと、「うみえーる」で売っており、今なら冷凍があるのではとの答え。行って見ると確かにあった。1袋280円。ただ、パックには何の文字も説明もない。知らなければ津久見産かどうかも分からない。

 佐藤さんたちが栽培しているのはアサクラサンショウだそうだ。九州ではいろんなサンショウが見られる。大分県高等植物目録によると、サンショウ、カラスザンショウ、イヌザンショウは「ごく普通」にあるが、アサクラサンショウは「少」とある。

 並のサンショウではないのだ。兵庫県養父市のホームページにキーワードの「朝倉山椒」を打ち込むと「まちの文化財(86)徳川家康と朝倉山椒」が出てきた。

 そこに朝倉山椒の解説がある。「全国で栽培されている山椒の多くは、朝倉山椒の中でも大きな実のなる苗木を交配して品種改良してものです。枝にとげがなくて実が多く、香りがよいのが特徴です」

 加えて徳川家康や豊臣秀吉とのエピソードも紹介される。日本で最初に朝倉山椒の名称が古文書に表れるのが慶長16(1611)年9月26日、駿府城の徳川家康に献上された記録だそうだ。「朝倉山椒は400年の由緒を持つ但馬を代表する名産品です」。そうだったのか。

 山椒の歴史を初めて学ぶ機会を得た。それはともかく、まぐろ山椒鍋のシーズンは11月からのようだ。サンショウは初夏に収穫され、マグロは一年中あるのになぜだろう。夏から秋にかけて、ひゅうが丼キャンペーン、モイカフェスタがあるからか。

 最後にまぐろ山椒鍋の定義を紹介すると、津久見市内の飲食店が提供する場合、統一の基準として「サンショウを練り込んだマグロのつみれが入っている」ことだそうだ。後はいろいろ店ごとに創意工夫を施しているらしい。冬に向けての楽しみが増えた。

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