台風16号は苦い経験に

蒲江翔南中横の高齢者施設前は台風16号通過後も水がなかなか引かなかった。 4日の佐伯市長定例会見で五つの資料が配布された。最初の資料が「台風16号による被害状況報告」。台風16号への市の対応は百点満点とはいかなかった。痛かったのは旧蒲江町(現佐伯市蒲江)の家屋浸水被害などの把握が遅れたことだ。人的被害はなかったが、日を追って住家被害が増えていった。市の対応が後手に回っている印象を強めた。台風16号の苦い経験を市は「次」にどう生かそうとしているのか。ここが肝心なところだ。

 会見では二つの背景説明があった。一つは台風による大きな被害がここ10年ほどなかったこと。確かに死者・行方不明者、負傷者が出たのは2004(平成16)年10月の台風23号のときだ。当時の鶴見町(現佐伯市鶴見)を中心に甚大な被害(145億円)があった。

 そして、翌2005(平成17年)3月、旧佐伯市と旧南海部郡5町3村が合併し、新たな佐伯市が誕生した。今回の台風16号が、9市町村による新市となって以来初めてとも言える台風災害で、旧市町村間の連携、連絡体制の不十分な部分が出てしまったという。

 厳密に言えば新佐伯市となって台風被害がなかったわけではない。5年前の9月の台風15号の豪雨で佐伯市本匠を中心に県道や市道、農地などに被害が発生した。

 台風16号は良いきっかけである。この際、徹底的に課題を洗い出し、体制の見直しや職員の意識改革を進めた方がいい。

 行政の対応に厳しい目が向けられている。それは災害の大規模化と無関係ではない。東日本大震災以降も大災害が続いている。

 佐伯市がまとめた台風16号の被害報告ゲリラ豪雨や集中豪雨も多発している。観測網の拡充もあるだろうが、1時間に100mmを超える雨量が報告されるのも珍しいことではなくなった。 佐伯市の被害報告によると、台風16号による1時間当たりの最大雨量は蒲江楠本浦で69mm、米水津色利浦で65mmを観測。そのほか、観測6地点で50mm以上を記録した。

 台風16号による雨は20日朝には小降りになり、まもなくやんだ。しかし、大雨がさらに数時間続いていたらどうだったか。市内各地で深刻な被害が出ていた可能性もある。人的被害も発生したらどうか。その時、被害把握などで行政が後手を引いたらどうなっていたか。厳しい批判は免れなかったろう。

 一時の台風18号のような「猛烈な」な台風が恒常的に九州やその周辺にやってくるようになったらどうか。これまでの防災・減災対策で十分なのか。考えるべきこと、やるべきことはいろいろとありそうだ。

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