伝わらない行政の情報

米水津での市長ふれあいトークの案内板 佐伯市長のふれあいトークが7日夜は米水津地域で、8日昼は上浦地域でそれぞれ開かれた。米水津は地域の若手、上浦は年配者が市長と意見交換をした。疑問、要望、提案はそれぞれ異なるが、各会場で共通するものがある。行政が進めている施策が住民にきちんと伝わっていない、理解されていないことだ。テレビや市報などで行政も情報発信に努力しているが、まだ十分ではないということになる。

 市長のふれあいトークについては10月31日付11月1日付の佐伯支局長日誌で紹介した。

 11月いっぱい市長が市内各地を回って、各地域の市民団体などと話し合い、市政への意見や要望を聞く。毎年恒例の行事となっている。

 今の佐伯市は1市5町3村が11年前に合併して誕生した。合併からだいぶ時間が経過したが、それぞれの地域の特性が消えたわけではない。

 旧米水津村(現佐伯市米水津)は干物など水産加工が盛んな地域である。ふれあいトークには水産加工会社の30代の後継者を中心に6人が参加した。米水津の問題の一つは深刻な人手不足。「市は若い人が『地元に残りたい』『地元で働きたい』と思うよう環境を作ってほしい」。こんな要望が出された。

 共働きで子育てができる環境。米水津に若者が残るには重要な条件になる。「なのに米水津には保育所もない」。こんな声が上がった。

 実は保育所がないのには経緯があって、必ずしも市が消極的だったというわけではないのだが、その事情は知られていないようだ。

 子育てに関して市長が第2子以降の保育料を半額にしていることを説明すると、参加者は知らなかったようだ。乳幼児を持つ世代より少し上ということもあるだろう。

 「行政が何をしているのか見えない」「補助金は本当にその目的を果たしているのか。無駄に使われていないか」などの疑問もあった。

 補助金のあり方で提案もあった。例えば佐伯市活性化チャレンジ事業。市民から企画を募り、認められると最大50万円を補助する。「アイデアを募って良いと判断したものにはどーんと補助金を出したらどうか」というのだ。

 チャレンジ事業は1市5町3村時代の枠組みで行われている。旧佐伯市、旧米水津村、旧上浦町など合併前の地域ごとに補助する事業の採択を行っている。これを今の佐伯市を一つの単位とし、最も優れたアイデアには50万円といわず500万円を補助する-そんな方法もあり得る。

 説明を受けると納得することもある。ただ、制度としてこうだからとか、それは県の事業だからとか言ってもすんなりとは理解されない。

 8日は上浦地区公民館で午前と午後の各1回のふれあいトークが行われた。午前中は「さいきの茶の間」、午後は「上浦高齢者生産協議会」との意見交換が行われた。

 上浦地域の「さいきの茶の間」事業者が集まった「さいきの茶の間」とは何か。家に閉じこもりがちな高齢者や障がい者が気軽に立ち寄れ、交流できる場を設けようと佐伯市が実施している事業である。運営の基本はボランティアで補助として年間20万円が支給される。

 上浦地域には現在、4カ所に「茶の間」が開設され、それぞれにカラオケやペタンク、グランドゴルフなどが行われている。

 ここでは「茶の間」事業に加え、地域の施設整備に関する要望があった。例えば公園のトイレの改修や遊歩道の整備など。会場で出された要望は市が今後検討することになった。

 行政のあり方について活発な意見が出たのは午後のふれあいトークだった。上浦高齢者生産協議会のヒジキ部会のメンバーが参加した。

 同協議会は昨年結成されたそうだ。ヒジキ部会は地元で取れたヒジキを加工し、ヒジキ飯の素などとして売り出しているという。

 協議会からは7人が出席。その中で出たのがヒジキの加工場の問題だった。近くに農産物などの加工施設はあるが、満杯状態でヒジキ部会が入る余地がない。旧上浦町時代に建設した公共施設があり、そこが使われないままなので使いたいと市に話をしたが、年間使用料が200万円と言われた。とても無理で何とかならないか。そんな要望だった。

 遊休施設のレストランたちばなとはこの建物か?遊休施設は瀬会(ぜあい)海岸のレストランたちばなというらしい(ふれあいトークの後でこれだろうかと写真を撮った)。「漫然と朽ちるのを待つより、少しでも有効利用した方がいいのではないか」。協議会側はそう言う。

 行政側から言えば使用料200万円はきちっと根拠を持って算定した数字である。まけろと言われてもおいそれと応じるわけにはいかない。

 理屈としては間違っていない。ただ、と思う。本来は現実があって、それに合わせて制度ができるはずが、実際は制度や仕組みは上から降りてくる。必ずしも地域の実態に合わなくても市は国や県に不服申し立てしにくい。

 今の制度がこうだからと言われても、要望した側は門前払いを食った気分になる。

 そのギャップを埋めるのにどこの自治体も苦労しているのではないか。

 

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