農家民泊はどうだろう

 宇目振興局で開かれた市長のふれあいトーク「農家民泊」はどうだろうか。有望じゃないか。話を聞きながら、そんな考えが浮かんだ。佐伯市長と市民のふれあいトークが続いている。10日は佐伯市内の宇目地域(旧宇目町)と直川地域(旧直川村)で開かれた。「農家民泊」という言葉が閃いたのは宇目の会場だった。

 ふれあいトークに参加していた女性の1人が話を始めた。今、栗の皮をむくのに忙しいそうだ。皮をむいて渋皮煮を作る。それを「道の駅宇目」に出して販売する。渋皮煮を年間500~600kgぐらい作るのだそうだ。

 女性によると、こんにゃくやみそを手作りして道の駅宇目に出荷している人たちがいるが、最近、高齢のためにやめてしまう人が出てきた。地域の中で引き継がれてきたものが失われてきている。それを何とかしないと自分でも思っているのだが……。そんな話だった。

 ふれあいトークの会場となった宇目振興局宇目地域は佐伯市内で最も高齢化率が高く、人口減少のスピードが最も速い。1980(昭和55)年に人口5173人で、65歳以上が人口に占める高齢化率は15.9%だった。

 これが今年、人口は2834人で高齢化率は49.82%に達した。人口は半分近くに減る一方、高齢化率は3倍以上になった。

 人が減れば空き家も増える。「利用できる場所にたくさん(空き家が)ある」。地域おこし協力隊員として宇目にやって来た男性が発言した。「自分たちも利用したと考えている」(地域おこし協力隊については10月20日付佐伯支局長日誌で紹介)。

 途絶えそうな「おふくろの味」「古里の味」。増え続ける空き家。そんな話を聞きながら浮かんだのが「農家民泊」「農村民泊」という言葉だった。都会から宇目に来て一日農業体験や田舎暮らし体験をしようとすれば今なら先生には事欠くまい。

 日本の農村というべき風景が宇目や直川にはある舞台も良い。宇目はまさに「日本の農村」といった感じなのだ。国道10号が通っており、全般に道は悪くない。しかも米はうまいというし、イノシシなどのジビエ料理もある。農家民泊、農村民泊をやる条件は整っているようにみえる。

 さらにもう一つ大きなプラス材料がある。

 今年8月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の日本国内委員会が、人と自然の共生を図る生物圏保存地域(エコパーク)に、大分、宮崎両県にまたがる山岳地帯「祖母・傾・大崩」などを推薦することを決めた(8月13日付西日本新聞朝刊)。来年夏にも認定される見通しだ。

 地元ではエコパーク認定に大きな期待をかけ、地域振興に結びつけようとしている(6月17日付佐伯支局長日誌「藤河内渓谷で迷い人に」で推進協議会について紹介)。 

 宇目にはキャンプ場はあるが、民宿などの宿泊施設はどうだろう。あまり目にしない。農家民泊、農村民泊をやる余地はありそうだ。佐伯市にもグリーンツーリズムの研究会があり、農家民泊を行っている地域があると聞いた。

 近隣の自治体では臼杵市野津町で農家民泊が盛んである。これだけで急速な人口減少に歯止めをかけることは難しいが、高齢者の手作りみそや漬けものなどが宿泊客に好評となれば再び作ろうという意欲が湧いてくるかもしれない。

 宇目がエコパークに向かう単なる通過点にならないためにも農家民泊の先進地に学び、準備して、やってみる価値はあるのではないか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です