祖母傾・大崩エコパーク

豊後大野市で開かれたシンポジウム 現場の声は面白い。現実を垣間見せてくれるから。大分県豊後大野市で開かれたシンポジウム「次世代につなぐ 祖母・傾・大崩の自然とくらし」をのぞいてみた。専門家による基調講演などに続いて最後に大分、宮崎両県の6市町の代表6人が登壇した。6人の話を聞きながら、豊後大野市まで来た甲斐があったなと思った。

 何のためのシンポか。最初の写真にある。祖母(そぼ)・傾(かたむき)・大崩(おおくえ)ユネスコエコパーク国内推薦決定を記念したシンポである。

 ユネスコエコパークとは何か。文部科学省のウェブサイトに「生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)」の説明がある。簡単に言えば、豊かな自然を守りつつ、自然の恵みを人の営みに活用する地域。人と自然の共生が図られている地域ということか。

 日本では志賀高原、白山、屋久島・口永良部島、綾など7カ所がユネスコエコパークに登録されている。

 これらに続く登録を目指すのが大分・宮崎両県にまたがる祖母・傾・大崩地域である。両県は推進協議会を設け、地元となる大分側の佐伯、竹田、豊後大野3市、宮崎側の延岡市と高千穂、日之影両町とともに登録に向けた気運を盛り上げようとしている。

 会場でもらった資料を見ると、来週の12月3日は高千穂町の自然休養村管理センターで、国内推薦決定記念のシンポジウムが企画されている。関係する6市町で順次シンポを開催していくようだ。

6市町の代表が登壇し、現状などを説明した 26日のシンポで登壇した6人は上記6市町の代表である。基調講演をした総合地球環境学研究所の佐藤哲教授も加わって意見交換をした。6人は最初に自己紹介を兼ねた現状報告を行い、続けて佐藤教授との質疑応答、最後に今後の目標や抱負を述べた。

 まず印象に残ったのは、エコパークという言葉やその意味が地元の人々にまだ浸透していないということだ。当然、何のため、誰のためにエコパーク登録を目指すのかもよく分からないままということだ。

 山の風景も見慣れてしまえば自然と共生するあなた方の暮らし方そのものが、ユネスコエコパークに登録するのにふさわしいものだと言われてもピンと来ない。豊かな自然などと言われても、地元の人にとっては日常の見慣れた風景に過ぎない。そんな意見が出た。

 地域住民に地域の良さをどう再発見してもらうか。そこにエコパーク成功の鍵がある。他にも重要なことはあるが、地元住民による再発見が一番だなとシンポを聞きながら思った。これに関する佐藤教授のアドバイスの一つは「外部の目」の活用だった。

 専門家を招き、地域の人たちにその価値を説明してもらう。さらに農家民泊も一つの方法と佐藤教授。民泊した人たちが喜んだり、ほめたりする。それが地元を見直す、地域の誇りを持つきっかけになる。

 エコパーク登録を観光客呼び込みの大きなチャンスにしたい。関係自治体の思いは分かる。ただ、短兵急に進めて一時のブームに終わってはもったいない。シンポを聞きながら、さまざまな形で地元住民による「地元再発見」を進めたいとあらためて思った。

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