使われなかった原稿は

西日本新聞用に原稿を書いたが 以下の文章は佐伯市で猪熊弦一郎作品展を中心的に企画した同市まちづくり推進課の橋﨑一行さんを紹介した原稿である。西日本新聞大分版用に書いたが、掲載しないので、この日誌で紹介する。拙い文章だが、これまでと違うこと、何か新しいことをしようとする人を応援したいと思っている。

 地域おこし協力隊 橋﨑一行さん。62歳

 佐伯市の城山の麓にある山際通りは城下町のたたずまいを残している。ここにある一軒の空き家を活用できないか。そう思ったのがすべての始まりだった。

 家の外観はともかく内部は傷んでいた。所有者の片岡篤さん(63)=東京在住=と連絡を取り、修理をお願いし、市で借りて活用策を考えることになった。

 片岡さんとのやりとりの中で、片岡家にゆかりの人物として猪熊弦一郎という名前を聞いた。そして、1枚の写真を見せられた。3人の人物が写り、その背後にふすまがある。そこに猫の下絵が描かれていた。

 猪熊と聞いてもピンと来なかった。猫の絵の作者と知って、では、その絵は今どこにあるのか、と探し始めたのが次の展開である。

 1902(明治35)年、香川県に生まれた猪熊は画家を志し、東京美術学校(現東京芸大)に入学。途中病を得たこともあり、美術学校を中退し、佐伯出身の片岡文子と結婚した。1926(大正15)年のことだった。

 5年後、文子の母が病気となり、2人で佐伯に帰省し、看病した。その間に絵を描き、個展も開いた。そんな佐伯とのつながりが分かってきて、地元に残る猪熊の作品を探して展覧会を開こうと考えた。

 最初は4点しか確保できなかった。だが、複数の所蔵家の理解を得て展示できる作品も増えた。「猪熊弦一郎が愛した町」と題して4日から片岡邸で一般公開する作品は20点。目玉は「カルメンに扮したS嬢」(制作年不祥)だという。

 「母のふるさとを何とか元気にしたい」。公務員を定年後、昨年11月、地域おこし協力隊として京都市から移ってきた。現在は佐伯市まちづくり推進課で、中心市街地ににぎわいを取り戻すために活動中だ。

 作品展の実現には多くの人の協力があった。だから、できるだけ多くの人に見てほしい。そう思っている。

 

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