運動靴も可とすれば

 米水津中であった防災教育に関する公開発表会「上履きをスリッパから運動靴へ変えて下さい」。佐伯市立米水津(よのうづ)中学校の防災クラブの13人が同市に5項目の提言をした。東日本大震災の被災地を訪れた生徒たちが、そこで学んだことを基に提言をまとめた。上履きはその一つ。これに対し、市米水津振興局長は「市教委に(運動靴にするように)働きかけて行きたい」と答えた。学校の上履きは所管が違うという意味で正しいのだが、杓子定規な答弁に思わず笑ってしまった。

 米水津中学校は本年度大分県防災教育モデル実践事業の指定校となった。希望する生徒を募って東北の被災地を訪問するのも防災教育の一環である。

 2日、4月からの学校の取り組みの成果と課題を報告する公開研究発表会を開いた。

生徒による被災地研修報告 5項目の提言をまとめた13人の生徒たちは夏休みを利用して2泊3日で宮城県石巻市など被災地を回った。帰って来て佐伯市長を訪問し、現地で見たことや聞いたことを報告した。その際、市長から宿題が出された。それに答えたのが今回の5項目の提言だそうだ。

 残る4項目の提言はなんだろう。2項目目は「垂直避難ができる場所を各地につくって下さい」。後に理由が続く。「米水津はリアス式海岸なので、山が海に迫っています。通学途中で津波が来るととても不安です。山に安全に避難できるような通路をつくって下さい」。

 生徒たちは石巻市の雄勝小学校跡地を見た。同小の元教諭の話も聞き、雄勝と米水津がどちらもリアス式海岸で似ており、米水津中が危険な場所にあることをあらためて感じた。

 そこで2項目目の提言が出てきた。3項目目は「すべての避難場所に備蓄倉庫とトイレ、ソーラーパネルを設けて下さい」。

 生徒による米水津湾の津波の研究発表1項目目と3項目目は石巻市立湊中学校で交流会と見学を行ったことの経験から来ているようだ。運動靴への変更を求める理由は以下の通りである。「もしも校舎が被害を受けた場合、スリッパで避難すると危険を伴うし、避難場所までの移動にも時間がかかります」。

 だから「被災した石巻市の湊中学校にならって、わたしたち米水津中学校だけでなく、市内のすべての中学校も、短時間にやってくる津波に備えて普段から運動靴で生活する方が良いと思います」

 湊中学校の屋上にはソーラーパネルが設置され、備蓄倉庫には鹿児島県から寄贈された毛布などが段ボールに入って積まれていたという。

 被災地で見たり、聞いたりしたことが提言に盛り込まれている。

 4項目目は「防災用の放送やサイレンをどこにいても聞こえるようにして下さい」。理由は「米水津でも場所によってはサイレンが聞こえないところがあります」。

 「高齢者も多いので放送やサイレンがしっかりと聞こえると安心だと思います」。これは地域の実態を踏まえた。(クルマのラジオをつけながら佐伯市内を走っていると、ラジオが入りにくい地域が多い。難聴地域の方が多いのではないかと思ってしまう)

 最後は「ペットの居場所を確保して下さい」。理由は「ペットも家族の一員です。ペットが苦手な人もいると思うので、預かって世話をしてくれるような場所があるとよいと思います」。

 これに対する市の答弁を要約すると①予算の関係もあり、すべてはできない②避難路の整備、備蓄倉庫の設置など優先順位を決め、段階的に実施している③被災後に人が暮らせる場所の整備をまず進める-といったところだ。

 上履きの問題はどうだろう。「上履きはスリッパか運動靴か」と考えるのではなく、個人的には「運動靴も可」と今のルールに書き加えるだけですぐに済むような気がするが。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です