しこりを英語で言うと

 佐伯市議会12月定例会が20日閉会した。来年4月の市長選に向けて現市長が会期中に出処進退を明らかにする。そんな思わせぶりなことを12月7日付佐伯支局長日誌「議会が注目されるのは」で書いたが、結果として誤報になってしまった。

 これから春に向かっていろいろ動きが出てくるだろう。表面的には静かな佐伯市に対し、臼杵市では来年1月15日に投開票される市長選に向けた動きが活発化しているようだ。今月17日には出馬を表明している前臼杵市副市長が、翌18日には現市長が同市中央公民館を会場に相次いで決起集会を開いた。

 記者は〝よそ者〟である。何年かすれば、その地域からいなくなる。地域との深いつながりはできにくいが、しがらみもない。第三者の目で物事を見るところに意味がある。

 11月に61年ぶりの村長選挙が行われた大分県姫島村。選挙で勝利し、9選を果たした現職は「姫島では選挙は良くないという思いを強くした。しこりが残った」としながらも「選挙を通じてできたしこりをなくすよう融和を図りたい」と語った-。西日本新聞の朝刊記事にあった。

 英語で「しこり」は何というのか。ネットでみるとill-feeling(悪感情)、an unpleasant feeling(不愉快、不快な気持ち)、bad blood(悪意)などとあった。みんなが顔見知りの小さなまちでは選挙で敵味方に分かれることになると、住民間の感情的な対立が長く残り、時には悪意を抱き合うことになる、というわけだ。

 臼杵市の場合はどうだろう。人口約2千人の姫島村に対して臼杵市は約3万8千人。広域合併をせずに単独でやってきた姫島村に対し、臼杵市は旧臼杵市と旧野津町が合併して誕生した。当時、この合併は「駆け落ち合併」と呼ばれたのだそうだ。大分県の構想では臼杵市はお隣の津久見市と、野津町は同じ大野郡内の町村と合併する(現在の豊後大野市)ことになっていたようだ。

 2005(平成17)年1月に新臼杵市が誕生。以来3回の市長選はいずれも候補者1人で無投票当選だった。今回は合併後初の市長選となる。とはいえ、まちの規模を考えれば、姫島村のように地域に、職場に、しこりが残るといった話にはなるまい。市長選後に多少のわだかまりは残っても、いずれ解消するだろう-個人的にはそう考えていた。

 ただ、決起集会などを見ていくうちに、ちょっと見方が変わった。前副市長を全面的に応援しているのが前市長。今回の市長選は実質的に前市長VS現市長の構図になっている。

 前臼杵市長は野津町との合併を推進した一方の主役。現市長は当時の野津町長である。合併で手を握った2人が今回は全面対決することになった。

 前市長は1997(平成9)年の臼杵市長選に勝利して初当選。次の2001(平成13)年の選挙選にも勝ち、再選を果たした。2005(平成17)年、旧臼杵市と旧野津町の合併で新臼杵市となると、無投票で初代市長に就任した。一方、旧野津町長だった現在の臼杵市長は副市長となった。

 前市長は1期で退任し、現市長が09(同21)年、13(同25)年と2期連続で無投票当選を果たしてきた。それが今回3人が立候補を表明し、新市として初の選挙となる見通しだ。

 前市長が初当選を果たしたのは20年ほど前になる。それから3期12年市長を務めた。中堅以上の市職員なら現職、前職のどちらの市長も知らない人ではない。選挙で2人の綱引きが激しくなってきて、仮に市役所内が大きく割れることになればやっかいなことになるかもしれない。

 前哨戦をこれまでは何も考えずにポカーンと眺めてきた。決起集会を見て、今回の選挙が危うい要素を孕んでいることにようやく気がついた。

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