東九州新幹線と在来線

東九州新幹線の設定ルート 臼杵商工会議所と野津町商工会、臼杵市の共催による新年祝賀互礼会が仕事始めの4日に開かれた。そこで来賓の1人から東九州新幹線の話が出た。大分と四国・愛媛を海底トンネルで結ぶ高速道路や新幹線の構想もあるらしい。正月らしい夢のある話なのだが、新幹線よりも在来線の行方が気になる。新幹線ができても在来線はきちんと存続できるのだろうか。

 東九州新幹線とはどんなものか。大分県のウェブサイトで検索すると、「東九州新幹線調査の結果概要について」という6ページの資料があった。日付は平成28(2016)年3月23日。東九州新幹線鉄道建設促進期成会とある。

 促進期成会が作成した資料にあった設定ルートが冒頭のイラストである。資料によると、1973(昭和48)年の運輸省(現国土交通省)告示により「福岡市を起点、大分市付近、宮崎市付近を経由して、鹿児島市を終点」とするルートが示されたとある。

主要区間の所要時間 主要都市間の所要時間の表もある。これは近年開業した九州新幹線や北陸新幹線などの表定速度の平均(約210km/h)を基に推計したものだそうだ。それによると、大分~北九州間は52分短縮され31分になる。大分~宮崎に至っては141分短縮され48分になるのだという。主要都市間の行き来は飛躍的に便利になる。

 しかし、光あるところには影がある。金がかかるのが大きな難点である。整備費用は推計で大分県内分が9千億円、宮崎県内分は1兆430億円に上る。ただ、国の手厚い支援があり、地方負担額(償還30年)で大分県内89億円、宮崎県内103億円などと推計されると資料にある。

 整備費用は多額でも地元負担が少ないから建設した方が良いという話になっているようだ。

 気になる問題はまだ残っている。どこに新駅をつくるのかである。大分県の資料によると、昨年5月20日に佐伯市で東九州新幹線調査結果説明会が開かれた。

 そこで「今回の調査では駅の数をいくつで考えているのか」との質問があった。これに対し県は「北部地域、中部地域、南部地域各1駅と仮定していますが、実際にどの場所に駅を設置するかは今回の調査では想定していません」と答えた。

 津久見市中心部を走る特急にちりん北部では中津市か宇佐市か。中部は大分市だろう。南部は佐伯市か。人口規模や大分市との距離を考えると、そのあたりに落ち着きそうだ。すると、臼杵や津久見はどうなるのだろう。在来の日豊線は公設民営や官民共同出資の第3セクター方式で存続する可能性が高い。

 時刻表を見ると、現在大分~宮崎間は上下各15本の特急列車が運行されている。新幹線が開通すれば、当然削減される。日豊線の輸送量は大幅に減り、1時間に1本もない時間帯がある普通列車もさらに減るかもしれない。

 これで日豊線は維持できるだろうか。何より懸念されるのが、南海トラフ巨大地震と大津波による被害である。上記の写真にある津久見市中心部でも線路は海岸に近いところを走っている。他の地域でも海沿いに線路があるところが少なくない。大震災で甚大な被害を出した時、誰が日豊線を復旧・復興するのだろう。

 日豊線不要論が出てくることが予測される。実際鉄道は大量輸送に強みがある。利用客が少ない地方では鉄道を維持するよりバス路線に切り換えた方が効率的だろう。日豊線も沿線人口は減少を続けている。

 こう考えると、新幹線云々はなくても在来線の危機が深く静かに進行していることに改めて気づかされる。

 

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