佐伯市長選に出馬表明

佐伯市長選挙に出馬を表明した田中氏 大分県議会議長の田中利明氏が11日、佐伯市で記者会見し、4月の同市長選挙に立候補すると表明した。佐伯市区選出の県議である田中氏は出馬に向けて早くから水面下で動いていたようだ。昨年12月24日に西嶋泰義市長が4選不出馬を表明したことから、満を持しての登場となった。これから選挙本番に向けて第2、第3の候補者が名乗りを上げてくるのだろうか。

 田中氏が言う通り佐伯市も全国の地方都市に共通する課題を抱えている。人口減少であり、少子高齢化であり、地域経済の縮小である。1月5日付佐伯支局長日誌「いずこも同じ人口減少」でも書いた。例えば佐伯市の2015(平成27)年10月国勢調査の人口は5年前に比べて6.2%減。毎年1千人のペースで減っている。

 若い人、働き手が減り、企業の人手不足が深刻化していく。この日誌でも何回か書いたが、佐伯市でも主力の造船業のほか、水産加工業や鉄工業などさまざまな分野で外国人技能実習生の受け入れが続いている(6月21日付佐伯支局長日誌「地方も欠かせぬ外国人」などで取り上げた

 技能実習の建前は日本で技能を学び母国で生かすことだが、実態は人手不足を補う労働力として多くの職場で外国人が受け入れられているとの指摘がある。その指摘は現場感覚として分かる。

 働き手が減っていけばさらに外国人への依存度が高まる可能性がある。現行制度で間に合うのか。それでは足りないとすれば、どうするのか。入ってきた外国人の移住・定住を認めるのか。国任せではなく先々を考えて自治体で議論していい。

 田中氏は産業振興のキーワードとして「海」「港湾」を挙げた。主力の造船業と関連産業、養殖のブリやヒラメに加え、天然の豊富な水産物がある。

 最近は養殖マグロが加わり、今や佐伯市は養殖マグロ生産量が全国3位だそうだ。佐伯の養殖マグロについては6月16日付佐伯支局長日誌「マグロ養殖会社を見学」で紹介した。ニッスイ系とマルハニチロ系の2社のほかにも2事業者がマグロ養殖に取り組み、佐伯産マグロはなかなか評価が高いという。

 これからに向けて明るさを感じさせる材料がある。一方でこれまでの「弊害」という言葉を使ったものがあった。それが広域合併である。

 現在の佐伯市は2005(平成17)年3月に1市5町3村が合併して誕生した。以来約12年。田中氏は「対等合併といったが、実際には吸収合併だった」と言う。

 町役場や村役場に代わって旧町村部に振興局が設けられたが、かつての役場と違い、住民が立ち寄らない。旧町村部の住民の要望などが市役所には届きづらくなった-と田中氏は指摘する。

 そこで「市民中心の市政」を掲げ、市職員が足を運んで住民のニーズをくみ上げ、迅速に対応する現場主義を役所内に浸透させていくという。

 あっちの地域にはあるのに、こっちにはないといった話。旧市内に比べ旧町村部はといった比較。西嶋市長が昨年11月に行った市民とのふれあいトークでも似たような意味合いの話はあった。

 九つもの自治体が一緒になったのだから、そうした話が出てくるのは仕方がない。西嶋氏はむしろ旧市内の方が我慢しているといった趣旨の話をしていたが、どこまで理解されただろうか。

 田中氏自身は合併推進派だった。だから、合併そのものが悪かったと言っているのではなく、この12年の過程の中で旧町村部にもっと配慮ができなかったのかと言っているようだ。

 合併直後から市政を担って3期12年、9市町村の一体化に心を砕いてきた西嶋氏からは異論が聞こえてきそうだ。考えてみれば「もしも合併をしなかったら」を含め九州一広い面積の市となった広域合併の足跡を客観的に検証するいい機会である。全国の専門家の方々に積極的に協力を呼びかけてみてはどうか。

 

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