おためしハウスを探す

梅の花が咲き誇るお宅があった カーナビがあればもっとスムーズに見つけることができるのだろう。残念ながらクルマにカーナビがない。検討をつけた場所でクルマをゆっくりと走らせて行きつ戻りつすることになる。臼杵市役所からFAXされた資料ではここら辺りのはずだ。探しているのは移住体験滞在施設「臼杵おためしハウス」。結局、確認できず、いったんクルマを置ける場所を見つけ、そこから歩いて戻ってくることにした。

 現地は臼杵市中心部から遠くないが、田んぼや畑も見られる。周囲の道はどれも狭い。細い道に慣れてない人は不安になるかもしれない。ただ、田舎らしさを残していて味わいがある。

 さて、看板でも出ていないかと見回してみたが何もない。あんまりうろちょろしていて怪しまれても何だからと思い、きれいに咲いた梅の花でも撮って帰ろうとシャッターを押した。

 それが冒頭の写真である。ちょうどその時、近所の人が家から出てきた。声を掛けて住宅地図を見てもらい、場所を尋ねた。ただ、見ていただいた地図は分かりにくいようだった。「どこに行くの」。そんな意味のことを聞かれて「移住の」「おためしハウスです」と答えると、ならそこだと目の前を指さした。

りっぱな住宅がおためしハウスだった それが梅が咲き誇る住宅だった。りっぱな家である。まさか空き家とは思わなかった。詳しい説明が臼杵市のウェブサイトにある。新着記事一覧の中に「移住体験滞在施設『臼杵おためしハウス』を設置しました!」(2017年1月12日)とある。

 予約状況を見てみると、2月に「予約不可」となっている日が6日あった。既に予約が入ったということだろう。順調そうだ。

庭には井戸もあるようだ 建物もりっぱだが、門扉のところからちらりと覗いた庭もりっぱである。いつから空き家なのかは分からないが、何とももったいないことだ。長期滞在型宿泊施設として活用すれば需要があるのではないか。そんなことを考えた。

 というのは昨年12月24日付日本農業新聞で次のような記事を読んでいたからだ。

 見出しは「〝農村の日常生活〟提供」「複数の空き家 ホテルに」「新潮流『アルベデゴ・ディフィーゾ』」「イタリアの協会 ダッラーラ会長に聞く」と4本あった。

 記事の内容は次のようなものだった。少子高齢化や空き家の増加など日本と同様の問題を抱えるイタリアでは、空き家を宿泊施設として活用し、観光客を呼び込む「アルベルゴ・ディフィーゾ(AD)」が広がり、成果を上げている。そこで活用の仕組みや意義について会長にインタビューをしたということだった。

 会長は答えている。きっかけは北イタリアで1970年代に発生した大地震だったという。崩壊した集落から人が去り、残された空き家をどう活用し、復興につなげるか模索した、と。

 そこで集落内の複数の空き家を、同一の経営体がホテルとして運営する仕組みを思いついた。それがADだと会長は続ける。単に部屋を貸すのではなく、宿泊客に「町に住んでもらう」ことがコンセプト。重要なのは宿泊客がまるで住民のように過ごせる環境づくりだと会長は言う。客を受け入れる近隣住民の理解も不可欠だと会長は付け加えた。

 もちろん簡単ではなかった。長年にわたり試行錯誤を重ねたと会長は語る。

 近隣住民の理解と協力が不可欠-。この記事を改めて読み直してみると、静かな住宅街にある「臼杵おためしハウス」など立地条件によっては営利目的の民泊施設として空き家活用が難しいケースもありそうだ。

 しかし、わざわざホテルや旅館を新築しなくても観光客や宿泊客を呼び込める、そのアイデアは魅力的である。インターネットで検索すると「ホリデーハウス御園」というのがあった。2007年4月から2年をかけて別府市の内成地区と立命館アジア太平洋大学(APU)畠田研究室の手作りのコラボで築100年の農家空き家を貸別荘に再生した-とあった。

 どこも空き家はたくさんある。少しでも活用したいのはどこも同じだ。みんなで知恵を合わせて、より良い活用策が編み出されれば、それに越したことはない。

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