佐伯のバイオマス発電

披露されたバイオマス発電所 最小の費用で最大の利益を得る。これが経済原理である以上仕方ないと考えるしかないか。新電力大手のイーレックス(東京)が27日、佐伯市戸穴で稼働を始めたバイオマスの佐伯発電所の完成披露と安全祈願を行った。発電の主燃料は輸入されるパームヤシ殻。材料なら間伐材など地元にいくらもあろうのにと思うが、コストなどさまざまなことで折り合わないということだろう。残念なことだ。

 発電所で行われた安全祈願式には同社の社長以下が出席し、来賓として大分県の広瀬勝貞知事、佐伯市の西嶋泰義市長らが顔をそろえた。佐伯市では久々の企業誘致の大型案件だったそうだ。

反対側からみた発電所 佐伯発電所の投資額は167億円と大きい。ただし、そこで働いている人は約15人という。発電所は24時間休みなく動いているが、そこに人は見当たらない。発電施設の運転をモニターする要員が1日3交代で事務所・制御室に詰めている。ここに1日800トンのパームヤシ殻が市内で別に備蓄している場所から運ばれてくる。単純計算すると年約30万トンの量だ。

 パームヤシ殻とはどんなものか。イーレックスのウェブサイトに説明があった。パームヤシ殻の略称はPKS。Palm Kernel Shellの略だそうだ。「パーム」「果実の核の内部(仁)、穀粒」「殻、貝殻」などとある。パームヤシの種からパーム油を絞った後のヤシ殻と書いてあった。

 パームヤシ殻や石炭を入れるバンカー同社によると「世界的にパームヤシの栽培は拡大しており、当社グループが調査した結果、当面は供給が需要を上回る状況が続くとみている」という。豊富で安定的な供給を見込める資源というわけだ。だから、東南アジアからはるばると運んできても十分に採算が取れてゆくと判断につながった。

 それはそれでいいのだが、しかし、と思う。佐伯市は九州一広い市である。しかも、約9万haの面積のうちの85.5%(77290ha)が山林である。「森林都市」でもあるのだ。そこにある木質材は有効利用されず、わざわざ原料を輸入するとは、との思い残る。

経産省のガイドブック 価格と質、量いずれかに問題があったら使いづらいという理屈も分かる。経済産業省発行の再生可能エネルギー固定価格買取制度ガイドブックがある。バイオマス発電は使う燃料で大きく五つに分かれ、電力を買い取る価格が異なる。最も高いのは間伐材等由来の木質バイオマスで、発電規模によって1kWhあたり40円+税、32円+税に分かれる。

 パームヤシ殻などを使う場合は1kWh当たり24円+税とあった。買取価格が高いのは、その分コストが高いことなどを斟酌した結果だろう。それだけ難しいということの裏返しということか。

 お隣の宮崎県日向市に中国木材(本社・広島県呉市)が進出する。そんな発表があったのが2013(平成25)年6月のことだった。製材工場や集成材工場などに加えてバイオマス発電燃料製造施設、バイオマス発電所を建設するとの内容だった。製材所で加工の際にでるおがくずを燃料に使うという。

 一連の施設は既に稼働しているようだ。そこでは年間で一般家庭約3万3千戸分に相当する約1億3千万kWhを発電しているという。

 地元のものを使った地産エネルギーというイメージには日向のバイオマス発電がぴったりだ。ただ、違う見方もできる。いざという時に備えて日頃からエネルギーの調達先を多様化しておくエネルギー安全保障から考えれば、ヤシ殻の輸入ルートを確保しておく佐伯のバイオマスもありか、と。

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