親なきあと相談室とは

親なきあと相談室のリーフレット 大分市にある社会福祉法人「大分県社会福祉事業団」本部を訪ねた。同事業団は先月、運営する県内の6施設に「親なきあと相談室」を開設した。その一つが佐伯市堅田の「大分県なおみ園」☎0972(28)7333にある。どんなものなのか。なおみ園に取材する前にイロハのイから聞いてみようと思って本部に担当者を訪ねた。

 なおみ園に親なきあと相談室が設けられたことを知ったのは佐伯市障がい者相談支援センターすきっぷの広報紙すきっぷ(2月号)を読んで。

 障がいのある子どもを親が見られない状況になった時の不安を少しでも解消するのが目的。親が生きている間にしておかなければならない課題について一つの窓口で対応できるようにしたのだという。

リーフレットには相談室での相談の流れが どんな問題があるだろう。どこに住むか。お金の管理はどうするか。そんな具体的ではなくても、どこから手をつけたらいいか分からない不安、漠然とした悩みはあるだろう。担当者によると、相談室の狙いはそこにある。相談者それぞれに何が課題かを明らかにしていく。そして、必要なら弁護士や司法書士、社会保険労務士など専門家につなぐ。

 相談者と一緒に課題を明確化していくために、相談員には5日間の内部研修を実施し、弁護士など専門家による講義を受ける。講義資料などが入った「親なきあと相談の手引き」は相談員の必携である。事業団では今後も研修を続けて相談員数を増やしていくという。

 同事業団が相談者として主に想定しているのは知的障害者とその保護者である。

 政府の平成28(2016)年障害者白書によると、身体障害、知的障害、精神障害の3区分で障害者数の概数をみると、身体障害者393万7千人、知的障害者74万1千人、精神障害者392万4千人となっている。

 施設入所・入院の状況を見ると、身体障害の施設入所割合は全体の1.9%、精神障害の入院患者の割合は8.1%に対し、知的障害では施設入所者割合が16.1%と高いのが特徴だ、と白書は言う。

 施設入所者の高齢化が進んでいるのだと同事業団は言う。国全体が高齢化しているのだから当たり前といえば当たり前である。そこで、高齢化していく知的障害者をどう支援していくか。これまでにない状況に現場の危機感は強いが、行政を含めた対応は遅れ気味のようだ。

 在宅の障害者の状況も白書にある。在宅の身体障害者386万4千人のうち65歳以上の高齢者は265万5千人で全体の68.7%。70歳以上に限っても221万6千人で57.3%を占めるという。

 一方、在宅の知的障害者62万2千人のうち65歳以上は5万8千人で全体の9.3%。単純に比較すれば、高齢者の割合はかなり低い。

 だからと言って問題が深刻ではないとはいえない。独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園が出した「高齢知的障害者支援のスタンダードをめざして(素案)」の中に次の指摘がある。

 「生活経験」として数字が示されている。身体障害がある人と比較した調査では、65歳未満の身体障害児・者のうち、親と暮らしているのは約41%であるのに対して、知的障害児・者の91%が同居だった。また、夫婦で暮らしている人は、それぞれ60%と5%と大きな違いがある。配偶者と生活する、子育て経験をもつ人が極めて稀で、障害福祉サービスを活用したいわゆる保護的な生活を長期間続けている人が多いのが現状-とあった。

  知的障害者の場合、親の存在が大きい。だからこそ「親なきあと」の支援が重要になるといえる。

 超々高齢化社会が進展していく中で、これまで想定もしていなかった課題が次々に出てきそうだ。

 15日の取材ではイロハのイまでも行かなかったが、これを足がかりにもう少し勉強していきたい。

 参考のために大分県社会福祉事業団本部事務局の☎097(552)1316を記しておく。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です