予算書に見るやりくり

2017年度歳入見込みの内訳 21日に佐伯市長の定例会見があった。3月定例市議会に提出する2017年度当初予算案の概要が説明された。一般会計の総額が431億3300万円、特別会計の総額は251億2122万7000円である。人員、予算を見れば地方で市役所が〝地場最大の企業〟などと呼ばれるのも無理はない。

 それにしても緑色の自主財源割合が低い。2017(平成29)年度の歳入見込みで全体の25.5%にとどまる。後は国や県から配分する予算や借金となる市債で賄っていることがグラフから分かる。

16年度の歳入見込み ちなみに16(同28)年度はどうだったか。自主財源比率は23.2%。少し改善しているように見えるがどうだろう。二つのグラフを比較すると、国庫支出金と県支出金の割合が17年度は減っている。その分、市税の増収を見込んで帳尻を合わせているようにも見える。

 記者会見で分厚い予算書をもらっても、30ページ足らずの概要版を読んですませているぐらいだから、予算のことをあれこれと論評する力もないが、一見して随分と硬直化していると感じる。

 多くの市町村は国や県の支援がなければにっちもさっちもいかない。大きく事業をしようとすれば国などの補助金や交付制度などを活用するしかない。国や県には頭が上がらないのは当然だ。

 独自に事業をしようとしても先立つものがない。その時はとりあえず1割ほどの頭金を払って、後は月賦で返済(今ならクレジットカードの分割払いか)することになる。地方債を発行して資金を調達するということはそういうことである。

 予算案では、地方債は起債見込額が57億2890万円で、元金償還見込額が約73億3900万円。17年度末残高は約521億5500万円で16年度末に比べ約16億1000万円減少する見通しという。

 借金が減っていくのは悪いことではない。財政健全化に向けて少しずつ進んでいるということだが、この先も安定的に返済していけるだろうか。

 佐伯市が2011(平成23)年度決算見込みを基準に2021(平成33)年度までの普通会計における財政収支の推計を出している。

 11年度の試算によると、歳入歳出の差し引きが16(同28)年度から恒常的に赤字になる。

 16年度は歳入から歳出をひいた金額が4600万円の赤字だが、17年度は3億7千万円、18年度は10億7300万円、19年度は18億2300万円、20年度は27億2600万円の赤字に広がるとの試算だった。

 前提条件が幾つか変わって、17年度はこの試算とは違う数字が出ている。大きいものの一つは日銀による異次元の金融緩和ではないか。無理やり金利を押さえ込こんで金を借りやすくした。もちろん円安が進むことも織り込んでいた。円安で輸出が増え、設備投資や住宅投資、個人消費が活発になる。民需主導の経済成長が実現し、日本経済は再生する。そんなシナリオを描いた。

 異次元緩和はあくまで短期間の、非常事態を乗り切るための金融政策のはずだった。ところが、異次元の金融政策が今や恒常化してしまった。政府・日銀が思い描いたようには物価も上がらないし、経済も成長しないからである。

 本来は借金が増えると支払う利子も高くなるのは普通だ。借金がかさめば完済できないリスクが高まるのだから金利が上がるのは自然である。ところが異次元緩和の下ではいくら国や自治体の借金が膨れあがっても払う利息は微々たるものにとどまる。そうなると、早く借金を返そうという気持ちも薄れる。

 日銀の異次元の金融政策による金利ゼロが永遠に続けばこれで問題はないのかもしれない。だが、それは可能だろうか。借金をすることのリスクに、気づかぬうちに鈍感になった国や自治体は危険な状態にあると個人的には思うのだが。

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