臼杵市の認知症講座

臼杵市中央公民館で開かれた認知症講座 予防に勝る治療はない。これは認知症にもあてはまる。そんなわけで臼杵市は認知症の早期発見・早期治療とともに予防に力を入れている。予防や発見のために欠かせないのが認知症に対する知識。4日、同市中央公民館で「なるほど認知症講座 in 中央」が開かれた。地区単位で開き、今回15回目だそうだ。

 午後2時からの講座に少し遅れていくと、市長の挨拶が行われていた。臼杵市ではここ3年間介護給付費の伸びが抑えられている。市民の努力のお陰であり、その頑張りに応えるためにも今後3年間の介護保険料を引き下げようかと検討している-そんな話があった。

 介護保険制度では3年を1単位とし、3年間に介護にかかる総費用(給付)を予測して高齢者などが払う保険料を決める。3年が経過し、予測よりも費用が少なくすめば次の3年間の保険料(負担)を引き下げることも可能だ。

 実際に介護保険料の引き下げとなれば、それは珍しいことなのか。あまりないとすれば記事になる。少し調べておいた方がいいかもしれない。

 さて、認知症講座の講師は2人。1人は社会福祉法人同心会高齢者総合福祉施設緑の園の理事長であり、施設長の一原浩さん。一原さんは「認知症の方とのおつきあい」と題して講演。80歳、90歳となっていけば誰もが認知症になり得ることを前提に考えることの重要性をまず強調した。

 認知症の人やその家族を地域で支援するためにはまずは認知症について知ること。そして、なぜ、そんな言動を取るのか、その意味や意図を考えることが欠かせないと言い、幾つかのケースを挙げて対処方法などを解説した。

 結論は「高齢者、認知症の人を変えるのは難しい。だから若い人、介護者が変わる必要がある」というものだった。従来の発想の延長では超々高齢社会は乗り切れないと個人的にも思う。

 一原さんの話は「認知症になったら」。後に続く大分大学医学部神経内科講座の木村成志准教授の話は「認知症予防の秘訣」だった。

 認知症の高齢者を家族だけでなく、地域、社会全体でどう受け入れて、支援していくか。これは大きな課題である。それとともに大事なのは、どうすれば認知症にならないか、あるいは認知症の前段階の軽度認知障害(MCI)から認知症に進むことを防ぐのかも同様だ。それを知るための実験が臼杵市で行われている。

  2015(平成27)年5月15日付西日本新聞朝刊大分版に記事があった。使うのは東芝のリストバンド。65歳以上の男女約1千人を対象に、リストバンドのセンサーで日中の活動量や睡眠時間など「生活データ」と体重や血圧などの「身体データ」を収集する。臼杵市と大分県、大分大、東芝(現在はTDK)の共同研究とある。

 一定期間、24時間、その人の行動を記録する。その中で認知症にならないのに有効なものは何かを探る。今は1千人以上が調査に協力しているそうだ。

 リストバンドの調査で分かるのは会話時間、睡眠時間、食事時間、紫外線量だそうだ。木村准教授はその中から認知症予防に有効と考えられるデータについて説明した。

  臼杵市民の協力によって調査は進んでいる。その結果、明らかに効果があると思えることが分かってきた。認知症予防に効果があると思えるのは、歩数の多い人ほど認知機能は保たれる(認知症になっていない臼杵市民の場合、1日6千~7千歩程度。逆に認知症予備軍は3~4千歩が多い)のが一つ。認知症になりにくいのは会話時間は1日2~3時間というのもあった。果実や乳製品を毎日取る人や地域活動をしている人は認知症になりにくい。リストバンドを使った継続調査とアンケートによってこんなことが見えてきた。

 リストバンドによる3年間の調査を踏まえて臼杵市が最終的に目指すのは、1人1人に応じた認知症予防の具体的な対策を示すことである。1人暮らしでどうしても1日最低2時間の会話時間が確保できないとすればどうするか。理想的、標準的な生活ができないとしても認知症になりにくい生活を送るにはどうすればいいか。1人1人に具体的なアドバイスができるようになれば面白い。

 臼杵市といっても地域によって生活習慣は異なるという。まして個人個人となればばらばらだろう。1人1人に合った予防プログラムの提示といった目標は野心的である。今後の動きを注視していきたい。

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