マリンカルチャー内覧会

現在マンボウは2匹だという 今の時期の大分県マリンカルチャーセンターと言えばマンボウである。14日に佐伯市蒲江竹野浦河内にある同センターを訪ねると、2匹のマンボウがプールでゆったりと泳いでいた。ただ、この日、ここに来たのはマンボウ見物が目的ではない。大分県が開催した現地説明会を取材するためだった。県は今、この施設をもっとうまく活用するためのアイデアを広く求めている。その一環として実際に施設を見学してもらおうと、この日の説明会を企画した。内覧会に同行して、この施設の大きさをあらためて実感することになった。

元猿海岸から見えるマリンカルチャーセンター この施設と土地は所有者が異なっている。土地は佐伯市が所有、そこに県が地上権を設定し、大きな建物を建てた。西日本新聞の記事データベースで検索すると、着工は1990(平成2)年10月。元猿湾を埋め立てた5.5haの町有地(旧蒲江町・現佐伯市蒲江)に長さ230m、幅33mの総合館(4階建て)を建設する。さらに、総合館を中心に100m海水プール、多目的広場を整備。周辺にはキャンプ場、遊歩道、展望台なども造る、との計画があった。

ホール、体育館、プラネタリウム、施設はまだまだある 記事によると、この施設は日豊海岸マリノリゾート開発の中核と位置づけられていた。マリノリゾート開発とは何か。記事検索をさらに続けると1989(平成元)年12月の記事があった。自治省(現総務省)は、時代を先取りした自治体の事業を国が支援する「リーディング・プロジェクト」に全国15事業を指定した、との記事があった。

 このうち、九州・山口では健康づくりを核とした福岡市の「ヘルス・プロモーションふくおか21」(事業規模約40億円)、大分県の「日豊海岸マリノリゾート推進プロジェクト」(事業規模約170億円)、山口県の「スポーツ交流村」(事業規模約30億円)が選ばれたとある。

ホールの350席は可動式になっている 記事は続けて、リーディング・プロジェクトについて説明。1986(昭和61)年度に始まり、指定事業になると、事業費の9割まで起債が認められる上、起債の元利償還金も国が最高55%まで交付金で補助するという。「今お金がなくても頭金さえ払えば、後はクレジットカードで分割払いできますよ。いざとなれば親(国)も一部肩代わりしますし」。簡単に言えば、そんな仕組みである。

 計画が進んでいた時期はバブル経済真っ盛りだった。大型リゾート開発が全国各地で進んでいた。「いけいけどんどん」である。何とかなるのではないか。今思えば、そんな根拠なき楽観が世の中の空気を占めていた。

最新鋭だった視聴覚室も そんなバブル期の建物だから、いろいろと凝っているのだそうだ。設計は菊竹清訓氏だという。名前は聞いたことがある。著名な建築家である。当時、菊竹氏に設計を依頼するのに随分と苦労したようだ。おそらく高名な建築家は当時、引っ張りだこだったと考えられる。お金もかかった。マリンカルチャーセンターの建設費は約80億円と、県が用意した資料にあった。

 写真で紹介した350席のホールは同時通訳設備があるのだそうだ。視聴覚室も当時の最新鋭の設備を導入したらしい。プラネタリウムも見学プラネタリウムも当時としては最新鋭だったのだろう。よく分からないが、ここにある光学式は一時代前で、今はデジタル式らしい。維持するのがなかなか大変との話だった。このほかもいろいろある。4階は団体客の宿泊施設、3階は一般客用で計約500人の収容能力がある。

トレーニングルームも広い 研修室や調理実習室、体育館、トレーニングルーム、大食堂、大宴会場、ダイバールーム。施設内をくまなく巡った。ところで県が主催したこの日の現地説明会に参加したのは1事業者だけだった。県はこれだけの設備をそろえた施設をもっともっと活用したい。そのためには民間の知恵が欠かせないと考え、これぞというアイデアを広く募り、地域活性化に本当に役立つ計画を提案をした事業者がいれば売却または賃貸するという。

 80億円で造った建物の今の評価は2億円余り。今となってはこうするしかないのだろう。問題なのは今もいろいろと政策の形や名前を変えながら、国も地方自治体も同じような無駄を続けているのではないかと感じることだ。事業がいったん動き出すと、社会の変化も何のその、そのまま突き進んでしまい、結果、時代のニーズには合わなくなってしまう。

 事業の抜本的な見直しは前任者の仕事を否定することにもなる。役所の仕事のやり方にはそぐわないということだろう。事業は失敗だったとは認めずに、見直しに動こうとすると長い時間がかかる。大分県マリンカルチャーセンターの場合もそのケースといえる。

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