子どもの貧困を考える

大分大で子どもの貧困対策のフォーラムが開かれた 大分県子どもの貧困対策推進フォーラムが20日、大分市の大分大学で開かれた。主催は県と県社会福祉士会。資料を見ると、スクールソーシャルワーカー、NPO法人代表、子ども食堂運営者の活動報告がある。現場のさまざまな話が聞けるかもしれないと思って行ってみることにした。

 事前に大分県のホームページで「子どもの貧困対策」と検索してみた。すると、2016(平成28)年3月に決めた「大分県子どもの貧困対策推進計画」があった。

フォーラムのリーフレット 14(同26)年1月に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が施行され、同年8月に政府が実際に貧困対策を進めるための枠組み(大綱)を決定した。国と足並みをそろえるために都道府県も推進計画を作ることが求められた。

 「子どもの将来がその生まれ育った家庭の事情等によって左右されることがないように、また、貧困が世代を超えて連鎖することがなく、すべての子どもたちが夢と希望を持って成長していけるように」するための計画である。

 さまざま政策を実行していくためには、まず子どもの貧困の実態について多くの県民に知ってもらう必要がある。子どもの6人に1人が相対的貧困の中にある。そういわれてもピンと来ない人が多いのではないか。子どもの貧困は見えにくい。だから、できるだけ多くの人に専門家や現場で活動する人たちの話を聞いてもらいたい。

大分大のキャンパス 今回のフォーラムの狙いはそういうことだろう。では、子どもの貧困について関心がなかった、知らなかったという人を会場にどれくらい呼べただろうか。フォーラムは大分大福祉科学研究センターが後援となっている。それで大分市の郊外にある大分大のキャンパスが会場になったのかもしれないが、交通の便が良いとは言いにくい。市中心部で開いた方がもっと参加しやすかったのではないか。

 フォーラムは名寄市立大学の山野良一教授の特別講演「子どもの貧困:その構造」で始まった。相対的貧困と言われても分かりにくい。具体的な金額でいえばいくらか。親子2人で173万円 月15万円足らず、親子3人で211万円 月18万円足らず、親子4人で245万円 月20万円余り-これが相対的貧困のラインだという。

 ここで注意しなければならないのは、この金額には児童手当などの給付もすべて含まれていることだ。これで子どもの教育費を含めてすべてのやりくりをしなければならない。親子4人で月20万円で子どもの大学進学に備えた貯金などができるか。不可能だろうというのが山野教授の話だ。そうだと思う。

 しかも、と山野教授は言う。先進国で一番大学に行きにくい国が日本だという。国公立大学の授業料と奨学金を受けている学生の割合(2011年文部科学白書)などを引いて説明した。

 最高でも授業料が年間15万円にならない欧州の大学、これに比べ日本の国公立大学は45万円に迫る。オーストラリアの大学は日本と同じくらいで米国はもっと高い。だが、オーストラリアや米国では奨学金制度が充実している。日本は授業料が高い上に奨学金制度も貧弱だ(返さなくていい給付型は極めて限定的)。結果、借りる学生の割合も少ないという。

 山野教授は神奈川県の児童相談所に勤務していた。その経験を基にした話は極めて興味深かった。ただ、講演で使われたデータは新しいものではない。子どもの貧困に関心を持っている人ならば一度は見たことがあるものが多かったのではないか。

 こうしたフォーラムやパネルディスカッション、シンポジウムなどで大切なのは、貧困問題に普段は関心を持っていない人をどれだけ集められるかである。専門家の分かりやすい話を聞いて、問題の所在を初めて知る。フォーラムなどがそんなきっかけになれば理想的だ。今回はどうだろう。PRなどは十分だったか。大分県は本気で子どもの貧困問題について県民の理解を得ようと思っているのだろうか。そんな疑問も頭に浮かんだ。

 活動報告の子ども食堂運営では、豊後大野市と中津市の代表がそれぞれ報告した。現場での成果と課題はいつも勉強になる。ただ、今日の日誌はここまでとしたい。改めてみなさんの活動報告については書く機会があるだろうと思っている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です