著作権を調べてみる①

津久見市の青江ダム公園には花見を楽しむ人たちが 大分県立図書館(大分市)で「著作権」と検索すると500冊ぐらい出てきた。適当に16冊ほど選んで書棚に探しに行った。最初に手にしたのは「音楽著作権の歴史」(フィリップ・パレス著)。訳者あとがきを読むと、1953(昭和28)年にパリで発表されたものだそうだ。これは早々に本棚に戻して、次に手にしたのは「CM著作権昨日・今日・明日」(全日本シーエム放送連盟著作権委員会編)。著作権について少し調べてみようと思ったのは「CMの早春賦」がきっかけ。参考になるものがあるかもしれないとパラパラとページをめくってみた。

 CMの早春賦について佐伯支局長日誌の3月12日付「CMの早春賦に異議あり」と3月25日付「CMの早春賦~その後」の2回取り上げている。

 どんな話かおさらいしてみる。3月12日に臼杵市の大手門公園の一角に設置された吉丸一昌像の除幕式が行われた。吉丸一昌(1873-1916)は「春は名のみの」の歌い出しで知られる「早春賦」を作詞した人物。除幕式では一昌の孫一同を代表して吉丸昌昭さんが挨拶した。

 そして、最後に付け加えたのが「保険会社のCM」について。「早春賦の歌を変えてしまったのは悲しいことです」と。三井住友海上火災保険のCMのことであり、吉丸さんが抗議の手紙を出したとの話だった。

 記事になるのではと一瞬思ったが、記事化はせず、この日誌で昌昭さんの話を紹介するにとどめた。その後、この日誌に昌昭さんからメールが届いたこともあり、「このCMの何が問題なのか」をもう少し調べてみることにした。県立図書館に行ったのはその第一歩である。

青江ダム周辺の山桜 CMの歴史と著作権について書かれた本を手に取ったのもはっきりした目的があったわけではない。漠然とCMの文字に引っかかっただけだ。しかし、面白い話があった。ラジオやテレビのCMが世間の話題となり、注目度が高まってくると、CMの無断使用、本来の目的と違う二次使用といった問題が出てきた。CMにも著作権があることを広く訴え、適切な使用のルールなどを作る必要が出てきた。

 この本の中で悪い事例ばかりでなく、良い事例もあったと紹介されているのが、故大橋巨泉氏が司会を務めた「11PM」。1983(昭和58)年8月に日本テレビ開局30周年の記念番組として、この30年間の話題のCMを使いたいとの申し入れが日本テレビからJAC(日本アド・コンテンツ制作協会)著作権部会にあった。

「番組の企画段階でまず打診があり、協議に入った。これは筋を通して相談に来た初めてのケースだった」

 この時初めて第三者による営利目的での使用で、使用料をいくらもらうかの交渉になったという。特に根拠はないまま1本5万円としたが、局側の制作予算が足りないというので、最終的には1本1万円の使用料にした-というエピソードも紹介されている。

青江ダム周辺で咲くサクラ 今、第三者がCMを利用しようとすれば、どうすればいいか。JACのホームページに「CM情報センター」があった。CMの第三者使用が円滑に安心して行えるように仲介する機関のようだ。「CMは著作物であり、『映画の著作物』としての著作権があります」と書いてあり、さらに「映像著作権のみならず、CMの素材として使用されている音楽、出演者、キャラクター等、著作権・肖像権が複雑に混在しています」と念が押されている。

 この本をさらに読んでいくと、著作権と著作者人格権、著作隣接権などがあることが分かった。著作者人格権には「公表権」「氏名表示権」「同一性保持権」があるという。著作権法を見ると、第20条に「著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする」とあった。

臼杵城址の横にある歌碑 今回の三井住友海上の早春賦のCMは「同一性保持権」との関係で問題があるだろうか。そこがポイントのようだ。あらためて早春賦の歌詞をみてみよう。

春は名のみの 風の寒さや
谷の鶯 歌は思えど
時にあらずと 声も立てず
時にあらずと 声も立てず

氷融け去り 葦は角ぐむ
さては時ぞと 思うあやにく
今日も昨日も 雪の空
今日も昨日も 雪の空

春と聞かねば 知らでありしを
聞けば急かるる 胸の思いを
いかにせよとの この頃か
いかにせよとの この頃か 

 さて、三井住友海上のCMの歌詞はどうか。同社のホームページにある60秒、30秒、15秒のCMを聞いてみた。

一番長い60秒CMは

遥かな道を 僕は旅する
ここに行く人 小さき瞳
寒さこらえて 肩寄せ合って
振り向けば ほら 花が咲いてる

 15秒のCMは最後の「振り向けば ほら 花が咲いてる」の部分が流れていた。

これは原作の同一性に配慮したものといえるだろうか。オリジナルへの敬意が感じられない。作者は100年前に亡くなっているから文句の言いようもあるまいが、関係者が抗議したくなる気持ちも分かる。

 さて、著作者人格権でCMの早春賦に駄目だしができるのだろうか。次回は著作者人格権についてちょっと調べてみようと思っている。

 

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