重箱の隅をつつく議論

疑問を感じた読売新聞の記事 「経済や財政の専門家ではないから」とも思ったが、あえて書いてみることにした。12日付読売新聞朝刊の記事の見出しでちょっと首をかしげたくなるものがあった。「自治体に財政改革指示」「首相」「地方『基金』が急増」「経済財政諮問会議」「交付税配分抑制議論へ」と5本の見出しがあった。地方自治体が財政調整基金などに必要以上にお金をため込んでいるのではないか。金が余っているようならば国から地方へ渡す交付税を減らしてもいいはすだ。そんな論理展開のようだが、何だか話が単純だ。

 記事には「これまで『聖域視』されてきた地方自治体の行財政改革の必要性を説いた」とあるが、これはどうだろう。都道府県や市町村の仕事ぶりにはなお改善の余地があると思うが、それは国も同じである。

 地方が行革に取り組んでこなかったかのような書きぶりはいかがか。佐伯市の前市長は四選不出馬を表明する記者会見で、3期12年間の実績として力説したのが行革の成果だった(2016年12月24日付佐伯支局長日誌「市長の四選不出馬会見」)。

 12月24日付の日誌から一部引用してみる。

 「西嶋氏(前市長)はその翌月(2005年4月)に行われた市長選で初当選。その選挙で掲げた公約の一つが『行財政改革プログラム』の作成と実行だった」

 「結果、合併時には約1300人だった職員を925人まで削減した。借金である地方債の圧縮にも取り組み、自治体財政の健全性を示す指標の一つである『将来負担比率』は大幅に改善。2008(平成20)年度は105.3%と大分、国東両市に次いで大分県内でワースト3位だったが、これが15(同27)年度は0%になったという」

 西嶋前市長は昨年11月、市民と対話する「市長ふれあいトーク」を市内全域で計19回開催した。佐伯市の財政状況を示すグラフそこで配られたのが右の写真の資料である。そして、市の財政状況が簡単に説明された。2005(平成17)年3月に1市5町3村が合併して新佐伯市が誕生した。資料は合併前の04(同16)年度からの市債と基金の残高の推移を示している。市債が借金ならば基金は貯金にたとえられるだろうか。

 広域合併前に計約702億円あった市債は15(同27)年度は約549億円に減少し、基金は計約101億円から約247億円と倍増した。佐伯市も経済財政諮問会議が問題視する基金が急増した自治体の一つである。では、佐伯市はこれで安泰かというと、そうとはいえまい。先に待っているのはバラ色の未来とは言い難い。

 子どもや若者、働き手である現役世代は減っていく一方、75歳以上の後期高齢者は増えていく。地域経済が縮小していけば税収も減る。今後の市の財政運営は国や県に対する依存度が高まることはあっても低下することはないのではないか。

 人口減少に伴って都市機能の見直し、再編も必要になる。老朽化した公共施設は建て替えるか、取り壊すかしなければならない。新たな施設整備にはもちろん金がかかるが、取り壊しもタダではできない。いずれにしろ金のかかることには変わりない。そうした費用も今から準備しておく必要があろう。地方の事情は冒頭の記事では考慮されていない。

 経済財政諮問会議で政府の18年度予算編成に向けて「経済・財政一体改革」の論議が進んでいる。そこでは地方自治体の基金がテーマの一つだという。個人的には重箱の隅をつつくような問題ではないかと感じる。一番の問題は国が借金依存体質から脱却する糸口すらつかめていないことである。地方に回す交付税を少しばかりけちったところで抜本的な財政再建はできないと思うが、どうだろう。

 家計で考えれば方法は二つしかない。支出に見合う収入を得るように努力するか、収入に合わせて支出を削るか。どちらも簡単ではない。

 国で言えば税収を増やすか、歳出を減らすかとなる。消費税率を引き上げることができないとすればどうするか。所得税の累進税率を上げて高所得者にもっと負担してもらうか。相続税などの課税強化を図るか。年金支給額に上限を設けて高額の年金受給者には減額を甘受してもらい、その分を子育て世代に回すか。さまざまなことが考えられる。素人目に見れば、今の「前借り経済」(借金をして必要な金を確保する)がずっと続くとは思えないのだが。

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