佐伯市津波防災計画

佐伯市役所で開かれた第1回の協議会 第1回佐伯市津波防災地域づくり推進協議会が18日、同市役所で開かれた。「第1回」「大分県内では初めて」などと聞くと行かないわけにはいかない。記事になりそうだと思う。そんなわけで他社の記者もそろって顔を見せていた。ただ、話を聞いていても、もう一つピンとこないのだ。1年かけて「津波防災地域づくり推進計画」をつくるというが、新たな計画ができることで何かがどう変わるのだろうか。

 津波防災地域づくりに関する法律は東日本大震災を受けて2011(平成23)年に成立・施行された。この法律に基づいて市町村は地域づくり推進計画を作成することができるという。

 推進計画の中核には最大クラスの津波でも「なんとしても人命を守る」という基本理念がある。そのためにハード・ソフトの施策を組み合わせた「多重防御」の発想で、防災・減災を進める。そして「将来にわたって安心して暮らすことのできる地域をつくる」という。

 そう言われても抽象的である。先行事例として宮崎県日向市が16(同28)年6月にまとめた推進計画がある。これを読めば、どんなものができるのか、おおまかな想像はつく。佐伯市の津波地震被害想定①その前にマグニチュード9.1の南海トラフ巨大地震で想定される佐伯市の被害を見ておこう。同市は震度6強の地震に見舞われ、蒲江丸市尾浦には1mの津波が26分後に、最大津波高13.50mが34分後には到達すると予想される。さらに、米水津浦代浦には12.76mの津波が36分後にやってくると想定されている。

 大分県内では最も早く津波に襲われ、中心市街地を含めて海岸部が広く浸水する。地震津波被害想定②津波による建物被害(堤防が機能しない場合)は全壊1万3924棟、半壊9239棟と2万3千棟以上が大きな被害を受け、都市機能はマヒする可能性が高い。さらに、堤防が機能しない場合の死傷者数(冬18時)は死者8578人、重傷者391人、中等傷者760人に達するとの予想もある。推進計画が目指す目標は地震津波による死者をゼロにすることだという。

 では、先に作られた日向市の計画はどういったものなのだろう。「第4章 地震・津波災害に強いまちづくりの基本的な考え方」を見てみる。すると、本市の持続ある発展と、津波から市民の生命や財産、産業を守るための防災力の向上の両輪によって「優しく強く温かい人とまち 日向」を実現するため、津波防災まちづくりの方針を「人・まち・地域の協働による、安心・安全で持続可能なまちづくり」とする-と書いてあった。何だか漠然としている。

 次のページは四つの方針があった。①命を守る②津波に備える③被害を減らす④早期の復旧・復興を図る-それぞれの対策を強化、推進していくとあった。命を守るでは、浸水想定地域からの早期避難、必要な場合は地域に津波避難タワーを建設することで津波の犠牲者をなくしていく。

 日向市では四つの方針を推進していくための課題を抽出することにした。具体的には小学校単位で整理した。実は佐伯市は15(同27)年度に海側の旧上浦町、旧佐伯市、旧鶴見町、旧米水津村、旧蒲江町について小学校区などに分けて防災カルテ作りに取り組んでいた。

 ①地震動②液状化危険度③津波危険度④建物被害⑤人的被害の5項目について1~5段階で評価し、最大25に対して、20以上あれば「赤」、15~19は「黄」、14以下は「青」と色分けした。ざっと数えると、赤が1地区、黄が10地区、青が15地区あるようだ。

 ちなみに日向市は地区別と広域的な課題の両方を踏まえて、地震や津波によってどのような被害が生じるかを予想。日知屋東地区や財光寺地区などは津波避難タワー等の待避場所の確保が必要、大王谷地区や細島地区などは孤立する可能性があり、早期に道路を再開する対策が必要などと地区別の対応策も記した。

 さらに、全市的な取り組みとして耐震化の促進や早期復旧・復興対策などの項目別に短期、中期、長期の対策の進行状況を整理した。

 日向市の計画をざっと見ると、佐伯市が今持っている材料でも計画づくりができそうだ。そこで、新たに学識経験者や市民代表を加えた協議会を設ける目的はなんだろう。市民への注意喚起の意味合いが大きいようだ。

 避難訓練も行ってきたが、問題は参加者が固定化し、なかなか広がらないところにある。協議会の中でそんな話が出た。今一番の課題は市民全体の防災意識の底上げである。ただ、推進計画をつくるための協議会は1年間で4回が予定されているだけ。これだけでは市民へのアピールは難しいのではないか。

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