夜明けとともに城山に

 城山から朝日をながめた夜明け前に目が覚めた。少し明るくなって来た空はすっきりと晴れている。このところ土曜の朝は「うすき海鮮朝市」に行くことが多い。折角早起きしたのだから、朝市の前に日頃の運動不足解消も兼ねて城山(豊後佐伯城址)に登ってみることにした。木々の間から太陽が午前5時前に城山の麓にある佐伯文化会館に着いた。登山道を歩き始めてしばらくすると、木々の間から光が差し、山道とその周辺をところどころオレンジ色に染めた。山道は誰も通っていない。「ホウホウ」と時折聞こえる声はフクロウか何かか。山頂に着く前に太陽が顔を出した。写真を撮るために少し歩みを速めた。

  文化会館側からは三つの登山道がある。「独歩碑の道」「登城の道」「翠明の道」。三つのうちでは独歩碑の道が一番歩きやすい。

 城山といえば、活用・保存に関する基本方針(案)について、この日誌で書いたことがあった。つい最近のことだった気がしたが、探してみると2016年12月21日付佐伯支局長日誌「城山百年ビジョン」だった。基本方針について市民向けに説明会が開かれたのは、もう半年も前のことになるのか。ちなみに「佐伯城山の活用・保存に関する基本方針(案)」は佐伯市のホームページで見ることができる。

 山城である豊後佐伯城址は最近の山城ブームもあって結構人気があるそうだ。眼下に佐伯の市街地を望む公益財団法人日本城郭協会が創立50周年を記念して選定した「続日本100名城」にも選ばれた。同協会がその前に「1県1城以上5城以内」の条件で選んだ「日本100名城」では、大分県から大分府内城(大分市)と岡城(竹田市)が選ばれている。今回の「続」では佐伯城のほか、臼杵城(臼杵市)と角牟礼城(玖珠町)、中津城(中津市)が名城とされた。関係者にとっては喜ばしいことだろう。

 城山と言えば文豪国木田独歩である。有名なのは「春の鳥」の書き出しだろう。「今より六七年前、私は或る地方に英語と数学の教師をしていたことが御座います。その町に城山というのがあって大木暗く繁った山で、余り高くはないが甚だ風景に富んでいましたゆえ、私が散歩がてら何時もこの山に登りました」。

 「頂上には城址が残っています。高い石垣に蔦葛(つたかづら)からみついてそれが真紅に染まっている安排(あんばい)など得も言われぬ趣でした」。独歩碑にも朝日が当たった物語は晩秋に始まる。「私」と少年「六蔵」の交流が始まり、翌年3月に突然終わる。随分昔に読んだこの小説を図書館で再び手にした。書店に行っても国木田独歩の作品はお目にかかれない。わずかに角川文庫の「武蔵野」(国木田独歩著)を書棚で見た。特に若い人の間で文豪国木田独歩の知名度は今どのくらいなのだろう。

 城山に登った後、臼杵魚市場のうすき海鮮朝市に行ってみた。生きたマゴチが片隅に最近は少し人が多くなった感じがする。初めてきたような家族連れなども見かける。今日はいろいろ魚があったが、ちょっと見たところホゴ(カサゴ)、クロ(メジナ)、クロダイがうまそうに思えた。市場の片隅では、海水を入れた箱の中で生きたマゴチが所在なげにしていた。その姿がコチはこれからが旬であることを思い出させた。

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