協力隊員の初任者研修

大分県庁で開かれた地域おこし協力隊初任者研修 地域おこし協力隊の初任者研修が6、7両日、大分県庁で開かれた。県内の市町村に赴任してまもない隊員を対象に県が初めて開いた。参加したのは9市の計18人と協力隊OBの2人。全員が初対面という初日と打って変わって2日目は活発な話し合いが行われた。初日の講義で「協力隊員は孤立しがち」という話もあった。市町村を超えた協力隊のネットワークができることで孤独感も緩和され、互いに相談相手にもなれる。全員が顔見知りになることで研修の所期の目的は果たしたともいえる。

 初日は主に講義で、2日目は午前9時から午後4時まで「地域づくりコーディネート・ゲーム」が行われた。18人が3班に分かれ、班ごとにカードを引くと、そこに設定が書かれている。例えば10世帯以下の小規模集落とか、高齢化率が60%とか、隣の集落に近いとか。「仮想」の集落に「仮想」の人物がいる。それらの人々とともに集落を元気にするにはどうすればいいかを考えるゲームである。

 講師となった徳島大学総合科学部地域計画学研究室の田口太郎准教授が考案したものだそうだ。これは総務省で行う地域おこし協力隊の初任者研修などでも使われているとのことだった。

 ゲームの細かい話はひとまず置いて、初日と違って2日目の会場の雰囲気は柔らかかった。初日の研修後に懇親会が行われていることも大きかったのだろう。会場では隊員の声が飛び交っていた。

 それにしても地域おこし協力隊はなかなか大変な仕事である。地域に入って何かをやろうと思っても先頭に立ってはいけない。住民が協力隊員に任せっきりになったりする。初日の講義では「主役はあくまで『地域』」と繰り返された。住民がやる気になって主体的に取り組むようにならないと続かないということだ。

 では、どうやって地域に入って行き、信頼関係を作って、どんな事業を始めればいいか。そもそも協力隊員が入って行こうとする地域は外部人材の受け入れに不慣れだという。しかも、地域の中には脈々と受け継がれてきた伝統がある。若者を地域から遠ざけてきた古い合意形成の手法である。これは新しいことをやろうとする人間にはまさに抵抗勢力に見える。

 「エンジン、ブレーキ、潤滑油」。地域の人間関係を見るときのキーワードだそうだ。地域を引っ張るリーダー役(エンジン)、その抵抗勢力(ブレーキ)と仲介役・調整役(潤滑油)が誰なのかを見極める。ブレーキと潤滑油がなければ地域は暴走する恐れがある。それぞれに地域には必要な人たちというわけだ。

 協力隊員が地域で何かを始めようとする時にこうした人間関係が頭に入っていないと、失敗する可能性が高まる。反対する人がいるとすれば、その理由は何か。2日目の研修会の一コマその人と話し合い、それを聞き出せれば解決策も見つかることもあり得る。軌道に乗っていけば反対していた人も協力者に代わる可能性がある。大事なのは地域のいろんな人とつながりを持っていることだ-。協力隊員としての1年目は焦らずにじっくりと地域を見ておくのがいいかもしれない。そんなアドバイスがあった。

 協力隊員は地域では目立つ存在である。国からの特別交付税措置を受けて市町村から支給される16万円余りの月給は地域では決して低くない。しかも給料は税金ということだ。協力隊員の「公」的な性格を常に意識してほしいとの話もあった。

 地域おこし協力隊は市町村が雇用する。そこで県が協力隊員の研修をすることは意味があると思う。県は第三者として協力隊員を見守ることができる。隊員が地元の市町村に言えないことも県には言えるかもしれない。隊員からのSOSがあれば第三者の立場でトラブルの収拾に一役買えるかもしれない。

 協力隊員は若い人が多い。最長3年間の任期のうちに見知らぬ地域で何かを成し遂げることは簡単ではない。3年の任期後、定住しようと思えばその間に自分の生活の糧も見つけなければならない。時間はいくらあっても足りない-。協力隊OBから聞く言葉である。

 さまざまな課題はあっても貴重な人材を地域でうまく活用してほしい-。協力隊のことはこの日誌で何回も取り上げたが、本当にそう思っている。

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