保戸島のマグロ船出港

島民に見送られて初の漁に出る藤田さん 8日朝に津久見市の保戸島に行くことになったのは7日午前中に送られてきたFAXのためだ。送り主は大分県漁協保戸島支店。「お知らせ」とあり「まぐろ漁船の出漁~新たな担い手の船出」とあった。今春、大分県立津久見高校海洋科学校(現海洋科学高)専攻科を修了した20歳の若者が初めて乗るマグロ漁船が8日、保戸島港を出港する。ついては島民総出で見送るので取材してはどうかとの話である。面白そうなので行ってみることにした。

 県漁協保戸島支店から届いた資料は1枚だったが、説明は分かりやすかった。その資料に書いてある通り、保戸島行きのフェリーの津久見港発午前9時20分に乗って島へ向かった。乗船時間は25分。9時45分には島に着く。マグロ船が出港する時間は午前11時だから、1時間以上あるのだが、10時台のフェリーの便がないから仕方ない。

 朝日、毎日、読売、大分合同各紙とNHK、OAB(大分朝日放送)のお馴染みの顔が船にあった。マグロ船に歩いて行くと既に取材が行われていた島に着いてまずは漁協保戸島支店を訪ねることにした。ぶらぶら歩いて行くと「(取材の)みなさんは船の方に行ってますよ」と一言。ならばと、ぐるりと岸壁を回って反対側の大型漁船が係留されている場所に向かうことにした。近づくと既に取材が始まっていた。テレビカメラの前でインタビューされているのは船主の大河浅利さんだった。

 大河さんの船に新たに乗り込むのは藤田康史郎さん。大河さんのおいだそうだ。マグロ漁の後継者は12年ぶりと大河さんは言う。藤田さんは海洋科学校に進学。卒業後に2年間の専攻科航海コースに進んだ。小さい頃から漁師になろうと思っていたそうだ。

 保戸島支店の資料にあったが、保戸島のマグロ漁船は最盛期には167隻を数えたが、現在では14隻となっている。マグロはえ縄船が最も多かったのが1980(昭和55)年で、年間漁獲量は2万1829トン、年間漁獲金額は約134億円だった。ただ、漁獲金額の最高は1990(平成2)年の約140億円だそうだ。

 昨年3月末現在は16隻で年間漁獲量2587トン、年間漁獲金額約17億円という。今は14隻だから、この1年で2隻減ったことになる。後継者がいないことが大きい。全国的に漁業の新規就業者の不足が続いている。そのことについてはこの日誌でも触れたことがあった(2016年4月6日付佐伯支局長日誌「農業よりも漁業が危機?」)。

 新たな担い手不足や魚価の低迷に加え、マグロをめぐる国際規制の強化もある。特にクロマグロは資源の枯渇が懸念されている。出港間近の第一豊栄丸藤田さんが乗り込む第一豊栄丸(大河考司船長、80トン)は中南漁場(北緯18~21度、東経151~155度付近)と呼ばれる区域に出漁する。マグロ漁船2隻を保有する大河さんに聞くと、マリアナ諸島の東で主にビンナガマグロを狙うのだそうだ。航海の日数は35日間で長いときは40日になるという。

 乗組員は10人で、うち6人はインドネシア人。外国人技能実習生として来て、その後1年契約で乗り組み、契約を更新している乗組員もいるという。保戸島のマグロ船にはインドネシア人とフィリピン人が多いと漁協の担当者は言う。「将来は船長に」と期待される大型新人の登場は朗報だが、厳しい労働環境に耐えられるだろうか関係者には懸念もある。まずは無事に帰って来いとみんな願っている。

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