地域ケア会議とは何か

スーパーバイザーを迎えて津久見市であった関係者の会合 津久見市で在宅医療・介護連携を進める大分県のモデル事業が実施される。ついては同事業のスーパーバイザーを務める埼玉県立大学大学院の川越雅弘教授が16日に同市を表敬訪問する-。そんな内容のFAXが数日前に届いていた。モデル事業の一つは医師が参加する地域ケア会議の開催とある。ところで地域ケア会議とは何か。まずは介護保険制度のおさらいから始める必要がありそうだ。

 何は良い資料はないかとWAM NET(ワム・ネット)で検索すると、「これまでの介護保険制度の改正の経緯と平成27年度介護保険法改正の概要について」という資料が出てきた。WAMとは独立行政法人福祉医療機構の略称である。

 2000(平成12)年4月に施行された介護保険法は介護保険法改正の経過表05(同17)年、11(同23)年、15(同27)年と改正が重ねられてきた。右の経過表を見ると、平成23(2011)年改正に「地域包括ケアの推進」の文字が見える。地域包括支援センターなら前からあったが、「地域包括ケア」はまた別のもののようだ

 ワム・ネットで見つけた資料には「(介護保険法)施行後10年が経過し、サービスの利用者数が制度創設当初の約3倍になるとともに(略)介護人材の確保等が緊急の課題となりました。そこで、高齢者が地域で自立した生活を営むことができるようにするために、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを切れ目なく提供する『地域包括ケアシステム』の実現を図ることとなりました」とある。

 厚生労働省が14(同26)年10月の「地域ケア会議推進に係る全国担当者会議」で示した厚労省資料にある地域包括ケア構築図「介護保険制度の改正と地域ケア会議の位置づけについて」と題した資料はもう少し分かりやすい。1945(昭和20)年の終戦後にあったベビーブーム。その時代に生まれた人たちが2025年にはみんな75歳以上の後期高齢者になる。15年に1646万人だった75歳以上の人口は25年には2179万人になると予測される。

 人口に占める比率は13%から18%に上昇する。国民の5人に1人が75歳以上の超々高齢社会になる。このままでは介護保険制度はパンクするのではないかと誰しも思う。そこで唱えられたのが「地域包括ケアの構築」である。

 それはどういうことか。13(同25)年3月発行の「地域ケア運営会議運営マニュアル」には以下のように説明されいる。

 地域包括ケアは、(住み慣れた地域で暮らし続けるために)介護保険制度による公的サービスのみならず、その他のフォーマ ルやインフォーマルの多様な社会資源を本人が活用できるようにするため、包括的および継続的に支援することです。 地域包括ケアシステムは「自助・互助・共助・公助」それぞれの関係者の参加によって形 成されるため、全国一律のものではなく、地域ごとの地域特性や住民特性等の実情に応じた システムとなります。

 キーワードは「自助・互助・共助・公助」である。介護保険だけでは間に合わないので、包括ケアシステム構築のための方法地域の実情を踏まえた持続可能な仕組みをそれぞれ考えなさい、と国は言っているわけだ。それを検討する場として「地域ケア会議」を設けなさいとなった。とはいえ、戸惑う自治体も当然出てくる。そこで「地域ケア会議の意義」(第1章)「地域ケア会議の構築・運営」(第2章)「地域ケア会議の実践例」(第3章)で構成する運営マニュアルが作られた。

 国の方針に従って大分県内の市町村でも相次いで地域ケア会議が設置された。大分県内市町村のケア会議設置状況同県が3年前にまとめた資料があった。これを見ると、姫島村は12(同24)年以前からあったが、後は12年2月が豊後高田市と杵築市、同4月が豊後大野市、さらに翌年4月に臼杵市、津久見市、別府市でそれぞれ設置されている。導入が早い豊後高田市などでは設立後5年以上がたったわけだが、ここで不思議なことに気づいた。地域ケア会議に医師が参加するようになったのは昨年からだそうだ。しかも、県のモデル事業で。

 16(同28)年度に県のモデル事業として医師が参加した地域ケア会議を開いたのは別府市、日田市、杵築市の3市。本年度は津久見市、竹田市、豊後高田市の3市でモデル事業が行われる。

 別に国が地域ケア会議に医師を参加させないようにと言っているわけではない。地域ケア会議の役割と機能むしろ医療関係者の参加を想定している。ならば、独自の大分方式ということか。厚労省が描く地域ケア会議の役割と機能は5段階あり、最終的には市町村の実情、課題を踏まえた国や都道府県への政策提言も期待している。現実にそこまでに至っている地域はあるのだろうか。

 法改正だとかで、新たな制度や仕組みができる。国は自治体にやりなさいと勧めるのだが、どうなのだろう。増築増築で使い勝手の悪い建物のようにも感じる。介護保険のおさらいと地域ケア会議のイロハのイを調べようとして、もう腹一杯になった。

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