午前中だけバタバタと

新人造船マンの3カ月研修が終わり、修了式が開かれた 27日午前中は佐伯市役所と佐伯港の行き来でバタバタした。午前10時半から市役所で佐伯市長と大分県知事の政策協議が始まり、同11時には海岸沿いにある大分地域造船技術センターで約3カ月の研修を終えた新人造船マン17人の修了式がある。さらに11時半からは市役所で政策協議後の記者会見が-と慌ただしい。真面目に取材しようと思うと1人ではなかなか大変である。

 田中市長は4月の市長選で初当選を果たした。そのお祝いを兼ねて広瀬勝貞知事が佐伯市役所を訪ね①仕事づくり②防災対策③その他-の大きく3項目について協議をする。趣旨と内容はおおむねそんなことだ。

 両トップの下で市側は副市長、地域振興部長、福祉保健部長など8人がテーブルに付き、県側は企画振興部長、南部振興局長、農林水産部審議監(林政担当)などこちらも8人が反対側のテーブルに並んだ。部長らの後ろには県職員のスタッフも控えている。

 協議のテーマの一つである「仕事づくり」はさらに①農林水産業の振興②人材育成、労働力確保③基盤整備に分かれる。当然、事前の打ち合わせが行われているはずで、この日の協議はいわば儀式のようなものだ。そのために知事に付いて多くの人がやって来る。

 「大名行列」という言葉が浮かぶ。皮肉な意味でなく、その規模は権力の大きさに比例しているのだろう。いつも1人で行動している人間からすると、不思議な感じがする。

 さて、この日印象に残ったのは大分地域造船技術センターの岩本光生副会長が修了式で語ったこと。型どおりに紙に書いてあった挨拶を読み上げた後、ちょっとと言って話し始めた。船舶の二酸化炭素排出規制「日中韓の造船業界の競争」「イージス艦の衝突事故」「省エネ」-キーワードだけ並べれば三題噺のようだが、おそらく日頃考えていることを話したからだろう、説得力があった。

 かつて日本は世界の造船量の50%を占めていた。それが韓国に抜かれ、中国に抜かれで現在は20%にとどまる。中国の建造能力は8000万トンと全世界の需要を一国で賄えるような規模になっている。安さ、コスト競争で日本は後れを取った。

 しかし、競争はコストから技術に移ったという。その要因が船舶の二酸化炭素排出量規制である。

 規制は2013(平成25)年1月1日以降に建造契約が結ばれる新造船から適用された。二酸化炭素排出規制の効果国土交通省の資料に規制による効果の推計がある。何も措置を執らない場合、国際海運からの排出量は2030年で2007年比の1.7倍、2050年の3.4倍になるという。対して規制により2030年で20%以上、2050年で30%以上の削減が見込めるという。

 いずれにしろルールの変更によって、船舶の建造から運航まであらゆる場面で省エネ技術が求められることになった。軽くて速い船の建造もその一つだ。軽くするために薄くて強い特殊鋼を使う。それが意外にもろかったイージス艦の船体に使われていた。

 造船業界の現状はよく分かったが、そんな話が新人造船マンとどう結びつくのか。そう思った時に結論に入った。特殊鋼を使う場合、鋼材をつなぐ溶接が一段と難しくなる。だから、地域造船技術センターで基礎を学び、それぞれが自分の会社に戻った後も、真剣に技術に磨きをかけてもらいたいというのが挨拶の結語だった。

 形にとらわれずに自分の言葉で語りかける。型どおりの挨拶が多い中で、なかなか新鮮だった。

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