石仏ねっとを再び学ぶ

臼杵市医師会立コスモス病院の全景 臼杵市医師会立コスモス病院を久しぶりに訪ねた。「うすき石仏ねっと」の新たな展開について話を聞きに行った。総務省の補助金を受けてどうのこうのといった話は随分前の臼杵市長の定例記者会見で出た。あれは4月のことだったろうか。ようやく事業の内容が固まったようだ。総務省の事業名は「クラウド型EHR高度化事業」。石仏ねっとは市民の医療や介護に関する情報を医師や歯科医師、薬剤師やケアマネジャー、介護士など関係者で共有し、効率的で質の高いサービスを目指す。その取り組みは今回どう変わるのだろうか。

 石仏ねっとの取材は半年以上前になる(2016年9月3日付佐伯支局長日誌「石仏ねっと取材その後」)。その日誌で石仏ねっとについて説明している。以下はその引用である。少々長いが石仏ネットについて思い出してもらうために再掲した。

 石仏ねっととは何か。右下の絵は小さくて分かりにくいかもしれない。真ん中に石仏カードがあり、石仏ねっとのイメージ図病院や医院、歯科医院、調剤薬局、健診(検診)データ、消防署、居宅介護支援事業所、訪問看護ステーション、介護施設とつながっている。

 石仏カードには本人の医療・介護情報などが蓄積されており、それを読み取り機の上に乗せると、そのデータを医師や歯科医師などが見ることができる。検査や薬の重複を避け、薬の飲み合わせの具合を調整することができる。

 基本的には本人が石仏カードを提示しなければ情報を見ることができない。情報を開示するか否かの選択権は本人にある(今は最後の提示から60日間は情報を保持しているという)。

 さらに臼杵ケーブルネットの専用回線を使い、専用のサーバーで情報を管理することで個人情報が漏れないようにしている。

 当初は主に高齢者を加入対象として医療や介護の質の向上や効率化、医療費などの抑制を図る狙いだった。今はそれが病気の予防、健康寿命を延ばすことに広がろうとしている。

 以上が9月3日の引用である。少し思い出していただけただろうか。医療・介護や健診のデータが蓄積、共有されることで医療や介護を提供する側だけでなく、受ける側にもメリットがある。自分が受けてきた治療や投薬などの履歴を知ることができる。

 昨年9月に取材したのは石仏カード加入者が1万人を超えたことを記念する式典があったから。今回聞くと加入者は1万3千人に迫りつつあるようだ。市民の3人に1人が加入している計算になる。これを今回の事業によって1万9千人にするのが目標だという。

 ところで総務省の事業名にあるEHRとは何なのか。Electorical Health Record。日本語で言えば「電子カルテ」だそうだ。臼杵市医師会が提出した事業のイメージ図電子カルテの高度化事業とはどんなものか。2016(平成28)年度の第2次補正予算に盛り込まれた情報通信技術利活用事業費補助金である。昨年12月に募集が始まったという。これではよく分からない。もう少し資料を読んでみる。各地の医師会などで電子カルテ(EHR)のシステム整備が進んでいる状況を受けて、それをクラウド技術を使って高度化するための補助金を出すということのようだ。

 このクラウド技術を活用するのがみそらしい。その結果、どうなるのか。地域の医療や介護などの関係者の情報連携を構築するのが一つ。ただ、臼杵市では石仏ねっとで既に実現している。もう一つは異なる地域間での医療情報連携を目指すこともできる。

 臼杵市医師会は豊後高田市医師会と連携することにした。左上にあるイメージ図の中に豊後高田市医師会などの名前がある。

 両市の医師会などで共有の新たなデータベースをつくり、患者の基本情報などを蓄積する。その際、臼杵市側では市外の病院にかかる臼杵市民のデータが蓄積できるようにしようと考えた。

 隣接する大分市では同医師会立アルメイダ病院やNHO大分医療センター、天心堂へつぎ病院など臼杵市民の利用が多い病院に依頼。このほか、由布市の大分大学病院、南隣の津久見中央病院にも話をし、利用した臼杵市民の基本情報、検査データなどを新設するデータベースに入れてもらうことにした。

 特に医療は一つの市だけで完結とは限らない。市域を越えた情報の蓄積、共有は医療の効率化にもつながる。今回はその試みの第一歩といえる。ただ、この段階でどんな効果がどれほど期待できるのか分かりにくい。

 今回はもう一つ変化がある。こちらは分かりやすい。うすき石仏ねっとに「予防接種情報」「母子手帳情報」「在宅医療介護情報」が加わる。石仏ねっとはどちらかといえば高齢者の医療・介護を想定して考えられてきた。今回、母子健康手帳が加わることで誕生から最期までの健康データを蓄積していく形になる。個人のプライバシーに最大限配慮しながら、健康管理に役立つものとしていけば先進的な取り組みともなろう。

 今回、事業内容の詰めが遅れたのは補助金の応募・採用者多数で1件あたりの補助金額が減らされたためらしい。補正予算で急きょ補助というやり方が良いのかどうか。補助の枠組み、条件が適切だったのかどうか。いろいろと疑問も覚えた。

 日誌が長くなったので、母子手帳情報や在宅医療介護情報については日を改めて少し詳しく紹介したい。

 

 

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