寄付ラッシュの佐伯市

100万円を寄付して感謝状を贈られる会社の代表 月曜日に今週の予定をチェックしていたら、一つ面白いことに気づいた。企業からの寄付金贈呈式が3件あり、総額で275万円が佐伯市に寄付されることになっている。3日は100万円の寄付金贈呈があり、市長が感謝状を贈った。6日には75万円、7日にも100万円がそれぞれ寄付されることになっている。佐伯市はこんなに寄付金が多いのか、たまたま重なっただけなのか。どうも偶然のようだが、日誌の材料になるかもと出かけてみた。

 100万円を贈ったのは佐伯市に本社を置く「九建設計」。創立50周年を記念した地域貢献事業として「佐伯市の防災対策事業への活用」を目的とした寄付金だという。

 贈呈式には九建設計側から平川昌寛社長ら4人、市側は田中市長以下こちらも4人が出席した。寄付を受けた市長は南海トラフ巨大地震に備えた防災対策を強化しようとしている時(※佐伯市は7月1日付で防災局を新設)であり、寄付を感謝し、大切に有効に使っていきたいなどと挨拶した。

 目的を定めた「指定寄付金」というのだそうだが、同市では「防災対策」での寄付は珍しいとの話だった。ちなみに6日の75万円は環境保全に、7日の100万円は市の活性化にそれぞれ役立ててもらいたいということのようだ。

 さて、佐伯市には毎年どのくらいの寄付があるのだろう。財政課に最近の数字を調べてもらった。2014(平成26)年度が17件の計54万2330円、15(同27)年度が17件で178万円、16(同28)年度は31件で4141万9501円。16年度が突出しているのは障がい者福祉指定寄付金で大口があったからだそうだ。

 15、16両年度と比較すると、今週1週間の3件で両年度の合計額を大きく上回ることになる。企業による寄付が増えているのは全国的な傾向なのか、何か理由、背景があるのだろうか。

 そういえば「企業版ふるさと納税制度」ができたという話があった。企業版ふるさと納税制度の説明それと何か関係でもあるのだろうか。内閣府地方創生推進事務局が今年4月に出した地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)活用の手引きがあった。それをみると、企業の寄付に係る負担を軽減、税負担の軽減効果を2倍にとある。 

 続けて、「例えば」とある。企業は地方公共団体に1000万円寄付した場合、現行制度では寄付額の約3割(約300万円)の税の軽減効果がありました。地方創生応援税制では新たに寄付額の3割(300万円)が税額控除の対象となり、これまでの2倍の約600万円の税の軽減効果があります、と説明があった。

 企業にとって、そんなお得なものがどこにあるのか。それを教えてくれるのが地方創生推進事務局の「企業版ふるさと納税ポータルサイト」である。ここで「地域から探す」をクリックして「大分県」を開いてみた。大分県、大分市、杵築市、国東市の各1件計4件の企業版ふるさと納税対象事業が見つかった。

 何でも良いわけではなく、国のお墨付きが必要なのだ。自治体のプロジェクトが「地方創生を推進する上で効果の高い事業」と国に認めてもらわなければいけない。

 佐伯市には企業版ふるさと納税の対象となる事業はない。企業の寄付が3件続くのはまさに偶然でしかなさそうだ。色んな恩典をつけて人の行動を誘導する。インセンティヴなどという言葉も使われる。税制もそのために有力な手段になるが、ふるさと納税に関しては個人的には問題ありだと思っている。

 財務省の税制メールマガジン第33号に主税局職員コラムがあり、日米両国の寄付についての考え方の違いが書かれていた。主税局に戻る前の1年間のニューヨークでの生活を基に書いている。これは2006(平成18)年11月に出されたものである。それを引用してみる。

 改めて「税制は社会を写す鏡」という感を強くすることもしばしばありました。寄付税制もそのひとつです。(略)低所得の人も含め一般の庶民が地元の教会やNPO活動へ多額の寄付をしています。寄付は人々の日常生活の中にあります。私が 住んでいたアパートの隣人も10万ドルの年収から毎年9千ドルを教会へ寄付しており、年収の1割程度を教会や慈善事業に寄付するのは全く普通なのだということでした。

 アメリカでは個人は所得の50%まで寄付金控除が受けられますが、法人企業は所得の10%が限度です。日本では個人は所得の30%までですが、法人企業は所得の2.5%%と資本金の0.25%の合計まで。加えて、企業の場合には公益寄付でなくても贈与一般について寄付金控除を受けることができ、特定の寄付が全額非課税となる指定寄付金の制度もあります。

 日本ではフィランソロピーやメセナというと企業中心ですが、アメリカでは寄付は個人がするものという大前提で税制もできているようです。

 どちらが良いとか悪いとかではなく、どんな考え方や価値観で税制を構築していくかの話である。ふるさと納税はそうした基本、哲学の議論を抜きにして人気取り的に作られた制度に見えるのだ。

 

 

 

 

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