森林組合の工場見学会

 佐伯広域森林組合の製材工場を見学佐伯市宇目にある佐伯広域森林組合の製材工場を見学した。生産ラインは1本で年間10万8千㎥の丸太から4万6千㎥の製品を生み出すと資料にある。日本有数の設備だという。同森林組合が目指すのは「佐伯型循環林業」。その根幹は伐採適期を「50年」と決めたことにあるそうだ。50年での収穫を前提に苗作りから植林、育成、伐採、製材、販売まで一貫して取り組む。山に残材を放置しないことも重要で、製品にならないものの利活用にも知恵を絞っている。

 佐伯広域森林組合は1990(平成2)年、佐伯市、弥生町、蒲江町、本匠村、直川村、宇目町大分県内の森林組合では断トツの規模(6市町村は現在は合併して佐伯市に)の6森林組合が合併して生まれた。組合員数5176人で職員数は144人と説明資料にある。さらに資料によると、事業総収益は40億8500万円で大分県内にある13の森林組合の中では断トツの存在となっている。

 佐伯林業の指針として掲げているのが、「木材生産」と山と森の「公益的機能」の持続的維持。木材の価格は長く低落を続け、最近は横ばいで推移している。佐伯広域森林組合が出荷するのはほぼスギで、スギは輸入材ホワイトウッドと競合し、価格競争を強いられているという。

 将来的にも日本の人口が減少していく中で、木材が最も使われる住宅市場も縮小していく。自ら販路を開拓すると同時に製品にはならない低質材などの利活用でコストを削減する取り組みも進めようとしている。

 森林組合としても経営努力を続けるが、森林の持つ公益的な機能にも目を向けてほしいという。林野庁の資料によると、森林の水源涵養機能は約27兆円、土砂流出防止機能は約28兆円と評価できるのだそうだ。ほかにも土砂崩壊防止機能など森林が有する多面的な公益的機能を理解し、支援して欲しいという。

 ならば今多くの森が荒れているということだろうか。福岡、大分両県を襲った豪雨の被災地には多くの流木があった。蒲江の漁港でも流木が目についた昨年9月に佐伯市蒲江の漁港が流木などで覆われたのを見た。台風16号の襲来によって蒲江地域では24時間で約403㍉と9月の観測史上最大の雨量を記録した。結果、海岸部には多くのゴミが残った。一般的に「荒れる山」が意識されたのは風倒木の大量発生がきっかけだったろうか。

 林業白書を見ると、1991(平成3)年は台風17~19号の影響で民有林の気象災害による被害面積は前年の約4.5倍の7万9千haに上ったという。このうち、約9割の7万haが風害で過去4年間の平均の20倍近い被害となったとある。大量の風倒木発生も今回の被災地である福岡、大分両県が中心だった。

 これをきっかけに森林再生が改めて叫ばれることになったと記憶している。

 今回の豪雨による流木の大量発生の原因が何かは分からない。ただ、佐伯広域森林組合でも風水害などで山からゴミが出ないような取り組みを進めている。製品にならないものは発電用チップに基本は伐採地に残材を置いておかないことである。製材工場の奥でドイツ製の機械が木材チップをはき出していた。移動式チッパーというのだそうだ。製品にならない丸太や枝のようなものをチップにしていく。これはお隣の豊後大野市にある木質バイオマス発電所に運ばれていく。

 同発電所はファーストエスコ社が計画したもので、13(同25)年9月の発表資料によると、定格出力1万8千kWで、年間発電量約12万MWhとある。バイオマス発電所向けのチップ発電に要する燃料使用量は年間21万トンとあり、佐伯広域森林組合からも毎日のように燃料用チップを積んだトラックが発電所に向かっていくそうだ。同森林組合でも木質バイオマス発電を検討している。現在製材工場の電気代は月約600万円。今使っている電気代の半分でも自前で賄えないかと考えている。

 折角ならもっと大規模にやればと思うが、初期投資が大きいのだと言う。ファースト社が豊後大野市に建設した発電所の総投資額は当初見込みで約65億円だった。森林組合の身の丈に合った投資となれば自ずと規模も限られてくる。

 捨てるしかなかったものの利活用、リサイクルは循環型林業のカギを握る要素の一つである。同森林組合でもいろいろと考えているが、まだ十分とは言えない状態のようだ。

 製材工場について報告するつもりが話がそれてしまった。見学した工場については後日、写真を使って紹介したい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です