石仏ねっとは進化する

 赤ちゃんの予防接種情報や乳幼児健診の記録をスマホでチェックできる「母子手帳」の電子化計画が、臼杵市で進められている。同市の地域医療・介護情報システム「うすき石仏ねっと」を活用し、親と行政、医療機関の情報をまとめ、スマホで確認できるようにする-。これは新聞記事として書いた原稿の書き出しである。石仏ねっとの新たな展開について聞くために臼杵医師会立コスモス病院を訪ねたことは7月2日付佐伯支局長日誌「石仏ねっとを再び学ぶ」に記した。

 それを記事にしようとしていろいろと考えて原稿を書き上げたのは先週末だった。残念ながらまだ西日本新聞大分版には掲載されていない。分かりやすくと考えて書いたつもりだが、ニュース性というか話題性というか、読者が面白いと感じる記事とは思われなかったようだ。書き手として力不足と言わざるを得ない。

 では、原稿の続きを読んでいただこう。

 同市では石仏ねっとを使った「おくすり手帳」の電子化などを実施。高齢者から赤ちゃんまでの医療・介護・保健情報を関係者が共有できる仕組みにすることで、効率的で質の高いサービスの提供を目指す。

 母子手帳の電子化は、同市医師会が総務省の補助金を得て行う「うすき石仏ねっと高度化事業」の一環。一連の高度化事業は来年1月の稼働を目指している。 

 石仏ねっとは、同医師会立コスモス病院と市内の開業医の間で、コスモス病院の検査データを共有できないかと考えたのが始まり。その後、訪問看護ステーションや調剤薬局、介護施設、歯科医院、消防署と情報ネットワークが広がった。

 2015年春には行政と医療・介護関係者による運営協議会も発足した。

 情報共有の鍵は「石仏カード」。ネットワークの中心に石仏カード登録を申し込んだ市民に配布される。医療機関で診察を受けたり、薬局で薬をもらったりする時などに自分のカードを提示すると、他の医療機関での記録や処方された薬の種類などの情報が分かり、医師らと確認することができる。

 結果、同じ検査を受けたり、飲み合わせの悪い薬の処方されたりするのを避けられ、無駄を省け、本人の負担軽減にもつながる。

 問題は市民が市外の医療機関や調剤薬局などを利用した場合である。そこで今回の補助金を使い、大分市のアルメイダ病院や大分医療センター、天心堂へつぎ病院、由布市の大分大学病院などの協力を得て、臼杵市民が検査を受けた場合のデータを確認することができる仕組みを新たにつくることにした。

 これが高度化事業の一つの柱となる。もう一つは赤ちゃんのデータを石仏ねっとに取り込むこと。母子手帳の電子化などには「石仏カード」保有者を増やすことが目的としてある。

 石仏ねっとの出発点は高齢社会への対応だった。増え続ける高齢者に対し、その医療・介護を支える人手は不足気味だ。その中で効率的で質の良いサービスを提供するにはどうするか。関係者の情報共有と連携強化が必要ということでネットワークを広げてきた。

 結果、石仏カード保有者も4月で1万2401人と市民の3分の1近くに達した。これを市民の2人に1人の1万9千人まで増やしたい。そのためにもスマホで確認できる母子手帳の電子化は有効と考えた。

  赤ちゃんの予防接種情報では定期接種のほか、任意接種やインフルエンザの予防接種などのスケジュール管理ができるという。

 コスモス病院と一部の開業医の間で検査データを共有する実験が始まったのは03年3月のことだったという。そこから14年を経て石仏ねっとはなお成長を続けている。

以上が原稿である。大分県で初とか全国初とか、何か新奇性、ニュース性を分かりやすく訴える言葉があった方が良かったかもしれない。石仏ねっとのフォローを続けながら、あらためて記事にできる機会をうかがいたい。

 蛇足だが、石仏ねっとについて紹介した2016年4月18日付佐伯支局長日誌「『石仏ねっと』ですか?」の中から、少し引用して終わりとしたい。

 「興味深いのは『石仏ねっと』が大災害への対応も視野に入れていることだ。東日本大震災では被災者の情報が乏しくて困ったとされる『薬剤情報』『災害時要援護者情報』『歯科情報』の三つが『石仏ねっと』では常日頃から共有されているという」

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