ドクターGと日銀総裁

福良天満宮の夏季大祭が始まった ヒマだからいつもつまらないことを考えている。例えば「ドクターGと日銀総裁」。日銀の物価目標達成時期の1年先送りのニュースを聞きながら、NHKの番組「総合診療医ドクターG」ことが頭に浮かんだ。日銀の金融政策とドクターGの番組で取られる手法は真逆に見える。一つ一つの事実を踏まえて正しい診断に迫ろうとするドクターGに対し、日銀総裁は最初の診断に絶対の自信を持っていて必ず治ると言い続けている。医療の世界にも競争がある。結果が出ないなら患者の家族は主治医を代えるだろう。そこが競争相手がいない日銀と違うところだ。

 NHKのホームページには新感覚!病名推理エンターテインメント番組とある。3人の若き研修医がベテラン医師の指導、助言を得ながら、正しい病名判断に行き着くまでのプロセスを楽しむ番組と言えばいいのだろうか。

 一つの症状からさまざまな病気が連想される。病状を詳しく見ていくことで病名が徐々に絞られ、鍵となる症状に注目することで最終的な結論を得る-こんな流れだったと思う。

 日銀の黒田東彦総裁がもし医師で、日本経済が患者だったらどうだろう。自信満々に登場した黒田先生は患者を診て、前任の主治医の治療法が不十分と判断し、「異次元緩和」という強力な治療法を施すことにした。

 少しばかり荒療治になるが、2年もたてば消費者物価の上昇率は前年比で2%になり、デフレから脱却できる。黒田先生の説明は確かこんな風だった。2013(平成25)年4月のことだ。「2年で2%」が合言葉になった。

 黒田先生の異次元緩和によって一時、患者である日本経済の様態は劇的に改善したかに見えた。「物価」という経済の体温が上がり始め、目標とした2%に届くのではないか。そんな期待を抱かせた時期もあった。ところが物価上昇は長くは続かなかった。先生によると、原油価格の下落など予期せぬことが起きたためだという。

 その後も目標達成時期の先送りは続いた。その間にも新たな手が打たれた。「マイナス金利の導入」。中身はよく分からないが、これをやらないとダメだという主治医の判断を信じるしかなかった。だが、案に相違して素人の目にも見えるような効果は出なかった。

 経済、金融の専門家でもないから、難しいことは分からない。臼杵の蓮まつり会場ものぞいてみたただ、黒田総裁が日銀総裁ではなく、その職業が医師だったらどうか。治療を開始して4年が過ぎた。しかし、目標は未だに達成できず、先送りが続いている。最初に書いたように医療の世界にも競争がある。

 4年も5年もやって所期の目標を達せされないとすれば患者の家族はどうするか。当然、主治医を代えることを考える。信頼をつなぎ止めることは難しい。ほかにも医師がいる。ほかをあたろうとするのではないか。

 残念ながら日本経済を診断し、金融政策を考え、実行するのは日銀しかない。日銀の見立てが違っていても誰も覆すことはできない。

 だからこそ、ドクターGのように一つ一つの事実を丁寧に分析、検討し、自分たちの診断と違うところはないのか、修正すべきところはないのか-細心の注意を持って謙虚に現実に向き合うべきなのだ。

 もし最初の診断と治療法が適切でなかったら。この誤りをどうやって正すのだろう。誰が責任を取るか。

 はっきりしていることは、今後の展開について日銀も明確なシナリオを持っているわけではないことだ。ご託宣通りに2019年度頃に2%の物価上昇を達成するかもしれない。ならばいいが、もし未達だったらどうするのか。また目標到達時期を先送りするのか。

 今や金融政策は漂流し、神頼みの領域に入っているように見えるが、どうだろうか

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