タネ地ならばともかく

大通りにも小さなビルが目立つ JR大分駅周辺の大分市中心部を一巡りして気づいたことがある。例えば左の写真。大分駅から伸びるメインストリートなのだが、道路沿いにあるビルは小さいものが目立つ。小難しい言葉でいえば都心部の土地の高度利用が進んでいないのだ。大通りから一歩入ると、景観はさらにみすぼらしくなる。歩道が申し訳にある程度でこれは同市で唯一のデパートの横の道である。道路に白い線を引いて歩行者とクルマを分けている。町歩きを楽しもう。ショッピングを楽しもう。そんな雰囲気にはさせてくれない。頭上の電線も無粋である。大分都心に欠けているものは公園ではなく都心再生計画である。ちょっと歩けば分かることだ。

 大分市長がJR大分駅前の空き地(現在は駐車場として一時利用)を購入して公園にする計画を明らかにした。これに対しておかしいのではないかと思い、大分都心を歩いてみたことは7月23日付佐伯支局長日誌「大分都心の公園事情は」で報告した。

 その時に印象に残ったのが都心に小さなビルが多いことと、歩行者には必ずしも優しくない道路事情である。道路を広げ、街歩きを楽しめるようにするには再開発が有効ではないか。ビルの大型化、高層化を促し、ビルの周辺に空間をつくってもらう。同時に電線の地中化なども進めれば、都心の姿は一変するだろう。

 問題は小さいビルのオーナーや小口の土地所有者をどうやって再開発しようという気にさせるか、である。行政としていろいろやることがあるが、欠かせないのがタネ地である。

 例えば何人かのオーナーの土地をまとめて近くの市有地と等価交換し、オーナーたちは取得した市有地に共同で新たなビルをつくる。連鎖型都市再開発の流れ交換で市が取得した土地にある建物は解体し、更地として別の所有者たちとの等価交換をする。これを繰り返していけば「ところてん式」に古いビルが解体されたところに新たな建物ができ、都心全体が刷新されることになる。

 左の図は都市再生機構(UR)の大手町連鎖型都市再生プロジェクトの説明資料のうちの1枚である。

 説明資料の一部を引用してみる。

 東京の大手町地区は、国際金融・情報通信・メディアなどの分野で活躍する大企業の本社が集積し、日本経済の中枢的役割を担ってきたエリアですが、建物の老朽化が進み、高度情報化への対応の遅れ等が課題となっていました。しかし、個々の建物の敷地に余裕がないため単独での建替えが難しい上、仮移転を伴う現地建替えは大規模なシステムを抱えた24時間稼動型企業の業務活動に支障をきたしかねないといった制約があり、建物の更新がなかなか進まない状況にありました。

 そこで、国の合同庁舎跡地を「種地(たねち)」として、順次建替えを実施しエリア全体を更新していく「連鎖型再開発」が「大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり懇談会」によって提案され、また、ほぼ同時に、「国有地の戦略的な活用による都市拠点形成」を図る都市再生プロジェクト(第5次)に指定されました。

 東京都心の大規模再開発計画と比べるものどうかとは思ったが、先例があることは指摘しておく必要がある。

 7月29日付の新聞各紙に、大分市の佐藤樹一郎市長がJR大分駅前の大分パルコ跡地(約4300㎡)の取得に向け、売却先を決める競争入札に参加する方針を正式に表明した、との記事が掲載された。

 同時に跡地の利活用策として2019年のラグビーワールドカップ(W杯)までに植栽や噴水などを想定した「祝祭の広場」を整備する構想も発表したそうだ。大分市は関連事業費として限度額30億円の債務負担行為を設定する本年度一般会計補正予算案を8月4日開会の臨時市議会に提案する-とも書かれていた。

 7月23日付の日誌でも書いたが、1㎡が60万円と考えれば取得費は約26億円となるから、予算規模としてもそのぐらいにはなるだろう。

 問題はそれだけ出して公園を整備することが賢い買い物であるかどうかである。URの連鎖型都市再生プロジェクトとは明らかに違う。大分都心の一角はきれいになるかもしれないが、都心部全体の景観は向上するかその他の場所はどうだろう。大分駅前の一等地を市が取得し、新たな公園を整備することが、都心全体の景観が向上することにつながるのだろうか。

 大分パルコ跡地を取得し、それをタネ地にする手もあるかもしれない。ただ、それには取得価格が高いことがネックになりそうだ。

 29日付大分合同新聞の論説も以下のように指摘している。「市中心部はJR大分駅のリニューアルを受けて、一部で再開発が進んでいる。しかし、中央通り周辺では車線数のあり方をめぐって迷走し、その後の街づくりそのものの議論が進んでいない。というより、市の方向性が見えてこない」

 ポンと大金が出せるほど大分市は財政的に豊かなのだろう。ただ、行政としても踏むべき必要な手順、市民の合意が抜けていると思うのだが。

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