大分市議会の議案質疑

歩道橋から大分市役所を写す 大分市議会の8月臨時会の議案質疑が8日行われた。臨時会は、同市がJR大分駅前の空き地を買うための予算案を議会に認めてもらうために開かれた。この土地購入の動きについてはこの日誌でも何回かご紹介している(例えば6月28日付佐伯支局長日誌「一等地を市が買うの?」)。中心部に新たな公園を整備することの意味がよく分からないと思い、議会の質疑も聞いたが、すっきり理解できたとはいえない。ただ、とにかくも土地を購入するのだという市の強い意志だけははっきりと分かった。

 JR大分駅前に県都の顔ともなる公園を整備する。花や緑がある美しい公園が駅を降りた人たちに強い印象を与える。大分市が取得を目指すパルコ跡地(5月3日撮影)「集い」「憩い」「祝う」祝祭の広場がJR大分駅前にできることでさらなる賑わい、街の活性化につながる。正確な言葉ではないが、議員に公園整備の目的を問われた市側の答弁はこんな感じだった。世界から人が集まるような集客力のある公園をつくる。そんな話も出ていた。

 大分駅から約1km離れた府内城址(大分城址公園)の方が、広さも歴史を残した景観も市中心部を代表する公園として整備するのにふさわしい気がしたが、それは個人的な感想である。

 さて、この日質問に立ったのは8人。共産党が3人で、社会民主クラブ、新市民クラブ、新政クラブ、公明党、自民党が各1人。午前10時から午後4時半まで2回の休憩をはさんで行われ、その模様はインターネット中継された。

 質問は大きく二つに分けられる。行政として踏むべき手順がその一つである。

 議会から見れば、パルコ跡地の購入は市の方針を百八十転換するものだ。なぜ、誰が、いつそれを判断したのか。8月に臨時議会を開いて補正予算案を議論するのは初めてのことではある。市民にきちんと説明し、意見を聞く場も設けられたとはいえない。議会をないがしろにする形で異例ずくめの行政運営がなされたのはなぜか-。議員さんたちは議会への説明責任を改めて問うた。

 話をさらに進める前にパルコ跡地問題をおさらいしてみよう。パルコ跡地というのはかつてここに大分パルコがあったから。渋谷や池袋などにあるパルコといえば若者文化や流行を発信する施設といったイメージがあった。大分パルコも都会的なセンスがある施設として大分の名所の一つになっていた。

 そのパルコが撤退し、跡地利用策が地元で模索される中で手を挙げたのが大分中村病院だった。新病院建設地として2012(平成24)年に土地約4300平方㍍などを約12億円で取得した。それが今年5月23日、新築移転の断念と用地の年内売却の方針を発表した。

 議会答弁を聞いていると、臨時会開会中の大分市議会そこから市役所内部でも本格的な検討を始めたようだ。市長によると庁内に検討委員会を設けたり、有識者や関係者の意見を求めたり、協議をしたりしたそうだ。

 というのも、それまで市の方針は「民間のことは基本的に民間で」。市が何らかの形で支援することはあっても市が購入などで主体になることはない。これが基本的なスタンスだったという。

 では、その基本方針がいつ変わったのか。そんな質問があった。市長の説明では、内部でいろいろ検討する中で、大分商工会議所と大分市商店街連合会が6月20日に提出した要望書が大きなポイントになったという。経済界や地元の声として重く受け止めないといけない。それがパルコ跡地購入のための入札参加の決断につながったという。

 もう一つの論点である大分市が最大30億円を投じてパルコ跡地を買って公園を整備する意義でもそうだったが、市の説明は、結論に至る論理の流れでポイントとなることがあちこちで抜け落ちている感じなのだ。

 公園を整備すれば大分の中心市街地はにぎやかになる。活性化する。市はそう言う。では具体的にどれくらい人が増えるのか。回遊性は増すのか。中心市街地の未利用・低利用地の開発促進にどうつながるのか。議員の質問に対し、市には根拠を示せるデータがあるわけではない。維持費はいくらかかるのかとの問いにも、どんな公園にするか決まっていないので試算できないということのようだ。

 聞いていた印象では公園うんぬんよりまずは土地購入ありきで、公園はとりあえずの口実-そんな感じを受けた。ならばこそ、なぜ、この土地を市が購入するのか、もう少し率直に実情を語った方がいいのではないか。

 個人的には公園整備は中心市街地の活性化には効果は小さいと考えている。7月29日付佐伯支局長日誌「タネ地ならばともかく」でも書いたが、「大分都心に欠けているものは公園ではなく都心再生計画である」と思う。

 最近はどうか分からないが、東京に集中した大手企業の本社を地方に移転させようと政府が盛んに旗を振っていた時期があった。政府の企業地方移転税制大分市はどうなのだろう。その流れに乗って大手企業本社の誘致は行ったのだろうか。人を増やす、賑わいを増す有力な手段の一つは本社誘致である。

 今の大分都心はどうだろう。仮に大手企業が大分移転に関心を示したとする。その時必要なものは何か。本社としての機能を果たせるビル、良好な生活環境と教育環境などである。それがそろっているか。有力企業や成長産業が大分に拠点を設けたいと思う、そんな環境がそろっていると言えるのだろうか。

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