対照的な市庁舎の議論

津久見市の新市庁舎検討市民委 対照的な方法で行われた議論で百八十度違う答えが出る。予想できないことではないが、目の前で実際にその進行を見ていると少し可笑しくなった。新市庁舎の建設場所を検討していて、臼杵市では海から最も遠い場所が有力候補となり、津久見市では海に一番近い場所を推す声が圧倒的だった。隣り合う両市で新市庁舎を巡って市民の代表による議論が行われている。22日は津久見市で第3回の市民委員会が開かれ、各委員は候補地についての意見を求められた。

 臼杵市での議論については8月20日付佐伯支局長日誌「市庁舎候補地を挙げる」で紹介した。5班に分かれた話し合いで、それぞれの班から複数の候補地が示された。その中で5班すべてが候補地の一つとして挙げたのが「臼杵商業高校跡地」だった。

 海に近い中心市街地に最も遠い場所である。「まちづくり」「防災」「財政」の三つの視点を踏まえて候補地を絞っていく。現地視察のための複数の候補地を挙げることが目的だったから、「防災」を重視して、各班ともとりあえず視察先の一つとして臼商跡地を入れただけで、そこが最適との判断しているわけではないのだろう。議論を尽くす一つの過程として必要というわけだ。

 慎重な臼杵に対し、あっさりした津久見といえるのかもしれない。津久見市民会館からセメント工場を望む3カ月ぶりに津久見市民会館で開かれた第3回市民委員会の論議を紹介する前に第2回の委員会について振り返りたい。第2回については5月10日付佐伯支局長日誌「津久見の市庁舎検討委」で紹介した。

 その日誌を引用してみる。まず「10日の市民委では、同市は新庁舎建設の候補地の選定について説明した。まず、庁舎建設の可能性がある市内の土地を抜き出し、その中で敷地面積5000㎡以上の条件で10カ所を選び出した」

 「そして、専門家による検討も受けて①安全性②利便性③周辺環境④法令適合性⑤まちづくり⑥経済性・実現性の六つの観点から、10カ所をそれぞれ評価してみた。結果、評価が高かった順に4カ所を候補地とすることにした」。

 「それが『市民図書館横民有地』津久見港近くの埋め立て地『市役所予定地(埋め立て地)』『駅前公共駐車場』『現市役所用地』である。候補をこの4カ所に絞ることについて市民委の了承を得たいというのが市の説明だった」。なぜ、4ケ所に絞ったのか。「各候補地について細かい検討を進めなければならないので、今後の作業量を考えて候補地を絞り込む必要があるとのことだった」。これが5月10日の内容だった。

 そして、市民委員会は第3回を迎えた。今回は4カ所のうち圧倒的な委員の声は「市役所予定地(埋め立て地)」を推すものとなった。この3カ月間でどのような各候補地の検討が加えられたのか。

 3回目の委員会では、市側から現在の職員数などから必要な延べ床面積約6200㎡とし、概算事業費約30億円で、それぞれの候補地にどんな建物がイメージできるかを示す概略配置図が示された。それに4候補地の「主な特徴(課題)」や上空からの写真も添えられた。

 4候補地のうち津波による「浸水想定区域」に入っていないのは「市民図書館横民有地」だけ。後は津波による浸水が予想されているのだが、図書館横民有地は中心市街地から遠く、交通の便も悪いということで委員会では早々に議論の対象から外される形に。

 面白かったのはこれからだった。社会福祉協議会などの近くに、との意見も他の3カ所の建物は、津波に備えて1階部分を柱だけの空間とするピロティ形式を採用する。1階は駐車場などに使われる。その工法でどこも十分に安全なのならば、より交通の便利なところが良いのではないかと委員の話が進んだ。いざというときに新市役所が避難場所になるのもいいとなった。

 しかも、埋め立て地は市有地で更地である。商業地域で建築制限もない。早期に建築にかかれるのも利点だという。

 周りにはスーパーや交番もあるし、社会福祉協議会もすぐ前になる。バス停もあって高齢者には便利であり、街の賑わいを作り出していくには埋め立て地が良いと推す意見が相次いだ。

 もちろん課題がないわけではない。市が用意した「主な特徴(課題)」には①タンクなどの危険物施設が多く存在しており、津波の場合には火災など二次災害も懸念される②港に近接しており、津波被害時に数日間機能を果たせるかが課題③庁用車の浸水対策が課題(立体駐車場)-などが列記されていた。

 ただ、限られた時間でこの日の委員会では詳しい検討はされなかった。臼杵に比べて津久見の議論の進行は随分とざっくりしているなとの印象を抱いた。それは市民の気質の違いの結果なのか、手法の違いによるのか。

 津久見市は商工会議所や区長会、文化協会、社会福祉協議会など地元各界の代表で構成する委員会を作った。これに対し、臼杵市の市民会議のメンバー48人のうち17人は公募である。自ら手を挙げた人は自分の意見や信念を持っているだろう。一般的に考えて、さまざまな異論、異見が出やすいのは後者だろう。その分、臼杵は時間がかかる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です