祖母・傾・大崩山ガイド

市役所でもらった「YaYa!歩くオヂさん」 佐伯市役所2階の公聴広報課に1冊の本があった。タイトルは「YaYa! 歩くオヂさん」。副題に「祖母・傾・大崩山~悠久の森を歩こう」とあり、本の帯に「故郷の山と森に魅せられたオヂさんの山歩き紀行」とある。臼杵市在住の著者が祖母・傾・大崩ユネスコエコパーク推進協議会を構成する大分、宮崎両県と佐伯市など6市町に献本したいと申し出て、記者クラブ加盟各社もいただくことになった。

 著者は齋籐義信さん。この本によると、2010(平成22)年夏に国産のロードバイクを買ったことがすべての始まりのようだ。齋藤さんは二十数年ぶりにバイクを駆って毎週のように山深い田舎道や林道を探索するようになった。

 そして「今まで意識すらしたことのなかった登山口の標識や登山届箱を初めて間近で見て」興味をもったことが、山登りへとつながっていった-そんなことを著者は書いている。

 この本は初めての登山となった11(同23)年4月17日の傾山(大分・宮崎のエコパーク推進協のHPから)傾山に始まり、16(同28)年10月29日の4度目の傾山登山まで5年半の山歩きの記録をまとめたものである。齋籐さんが自身のホームページに連載していたようだ。登場する山々の多くは祖母、傾、大崩のほか、古祖母山、新百姓山、障子岳、本谷山など祖母・傾・大崩に連なる峰々である。

 齋籐さんは、6月14日に登録が決定された祖母・傾・大崩ユネスコエコパークへの関心を高める一助になれば、と自費出版することを決めたそうだ。出版社は青森県弘前市の北方新社、定価は1700円で、資料によると、発行部数は320部。250頁を超えるなかなかりっぱな本である。

 「あとがき」で齋籐さんは出版の目的を次のように書いている。藤河内渓谷(大分・宮崎両県のエコパーク推進協のHPから)「他人様に自慢できるような経験や見識があるわけでも、登山家やアスリートでもない中年男が、ただ山を歩くだけという刺激の少ないお話でしたが」と断った上で「今現在『山なんか興味ねぇよ』とか『サクラとチューリップとヒマワリ以外はただの花だろ』(略)くらいの人にこそ読んでほしい」と言う。

 14(同26)年秋に自然観察指導員の研修を受けた齋籐さんは、自然観察のコツのようなものをつかんだ。ゆっくりとつぶさにじっくりと見ることで得られる情報量は格段に増す。そんな自然観察の楽しさを多くの人に味わってもらいたいと考えている。

 この本の中身を簡潔に説明しているのは大分県自然観察連絡協議会の渡辺政治会長の言葉だろう。大崩山(大分・宮崎両県のエコパークス推進協のHPから)本の帯にある。「登山に始まり、森を歩く心地よさに魅せられて、やがて自然観察、そして自然保護へと目覚めていく。筆者の心の変遷が興味深く、面白い」

 そして、この本は登山者としての齋籐さんの成長の記録でもある。「初めての登山 傾山」で齋籐さんが選んだコースはガイド本で調べた一番楽なルートだった。「他のコースならどれも往復で5~9時間かかるところが、なんと3時間と15分で行けるという。日頃これといった運動をしていない四十路半ばのオヤジにしてみれば半額引きのバーゲンプライス」とこのルートに飛びついたようだ。

 そのルートの登山口に向かう途中で見たのが、杉ケ越コースの看板だった。「ここから登るのは危険なので、安易な考えで入山してくれるな。特に初心者は見立から登りなさい」との趣旨が書かれていたという。この本の最後はその杉ケ越コースである。

 16年10月29日の4度目の傾山では「歩行時間は合わせて12時間、距離は25~30kmだろうか。2日かけてゆっくり歩いてみたい」と齋籐さんは書いた。齋藤さんの余裕も感じられる。

 山登りをしない人間として一番面白かったのは「別府番外編」。日付は12(同24)年3月10日とある。山歩きを始めて10カ月ほどが過ぎ、「いったい今の私の歩きの実力はいかほどなのか」。疑問がわいた。そこで自分の力を測るために「臼杵の自宅から隣接する大分市のJR大分駅、さらにその先の別府市まで約40kmを、ほぼいつもの山行きのスタイルと装備で歩く」という実験をやってみたという話である。

 登山記もそうだが、別府番外編を読んでいても、著者にはいささか無鉄砲なところが感じられるのだが、いかがだろうか。

 

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