津久見の総合防災訓練

県などと合同の防災訓練があった 東九州自動車道を走って大分市から臼杵市に入ったあたりで携帯電話がけたたましく鳴った。後で携帯を見ると「津久見市からの訓練のお知らせ」とあった。3日に大分県などと大掛かりな防災訓練を行うことは聞いていた。午前9時から始まったようだ。開始から2時間後に会場となった海岸沿いの市有地に行ってみた。防災訓練はいくつか見てきたが、訓練の成果と課題がどこまで住民に共有されているのか、いつも疑問として残っている。

 携帯にあった「お知らせ」は「これは訓練です」で始まる。「2017年9月3日午前9時3分に避難指示(緊急)発令。大津波警報発令のため市内全域8371世帯18232人に避難指示(緊急)を発令しました。速やかに近くの高台に避難してください」とある。

 高速道路で臼杵市に入ったばかりの場所でも受信したから、本部のホワイトボードに書き込みが津久見市内だけでなく、南隣の佐伯市でも訓練のお知らせが携帯やスマホに届いた人も多かったかもしれない。訓練本部が設置された会場に行ってみると、ヘリコプターが飛び立ったところだった。

 会場での放送を聞くと、大地震に伴う津波で津久見港に接岸できなくなった船があるとの想定で、海上保安部の船とともにヘリが現場に向かったところのようだ。乗組員を救助して戻ってくるとのシナリオなのだろうか。

 会場には自衛隊や県警、消防・消防団のほかに国土交通省九州地方整備局の車両などが見える。災害派遣の大型重機もあった訓練本部横の敷地には日本赤十字社の救護所があり、その後ろ側にNTTやKDDI、ソフトバンクといった通信会社のテントがあった。会場の一番隅に赤く塗られたトラックがあり、正面から見ると「救助犬出動中」「九州災害救助犬協会」の大きな文字があった。

 市町村単独でどんな防災対策ができるのだろう。独自の施策を講じる余地はどれくらいあるのだろう。佐伯、津久見、臼杵3市の9月定例市議会に提案される一般会計補正予算案を見ながら、そんなことを考えた。

 3市の補正予算案に「福祉避難所用備蓄物資等整備事業」がある。「大規模災害に備え福祉避難所の協定事業所に対し、受け入れ人数に応じて備蓄物資を買い入れて、貸し付ける費用」と佐伯市は予算書で説明している。

 備蓄物資の購入にあたっては大分県の補助がある。県の2017(平成29)年度一般会計予算案(当初)を見ると、「熊本地震の検証結果への対応」として挙げられた事業の一つに「福祉避難所体制強化事業」(新規)があった。

 事業の中身は「福祉避難所の受け入れ体制を強化するため、福祉避難所開設・運営マニュアルを作成し、研修を実施する」ことが一つ。さらに「福祉避難所の開設に必要な物資等の購入に要する経費に対し助成する」こと。補助率は三分の二で予算総額は4517万円となっている。

 県の方針に従って佐伯、津久見、臼杵3市だけでなく、県内の他の市町村も一般会計の補正予算案に盛り込んで9月議会に提案しているはずだ。

 これをどう考えればいいかと思う。自主財源が少なく、待機している消防団財政力が弱い市町村は何かをやりたいと思っても単独ではなかなかできない。国や県の補助金をうまく使って必要な施策を行うのはいわば生活の知恵である。しかし、補助金や助成制度がなければ何もしないという発想にもなりかねない。上意下達が当たり前になりかねない。

 防災訓練を見ながら余計なことを考えた。ところで福祉避難所とは何か。大分県と大分県社会福祉協議会が13(同25)年8月に発行した「福祉避難所開設・運営マニュアル」に少し説明があった。

 1995(同7)年1月に起きた阪神淡路大震災では、一般的な避難所で生活していた高齢者や障がい者の中に、疲労やストレス、持病の悪化などで体調を崩し、生活に支障をきたして震災関連死に至る事例が報告された。

 そのため、国は98(同10)年に社会福祉施設を障がい者のための「福祉避難所」として設置するように通達を出した。現在は障がい者施設のほか、高齢者福祉施設や病院、公民館、ホテルなど大分県内では計360施設が、災害時に福祉避難所になるという。

 県の予算書によると、熊本地震を教訓に開設・運営マニュアルの改訂が行われることになっている。常に見直してより実効性のあるものにすることは欠かせない作業である。今夏の九州北部豪雨についても検証が行われて、マニュアルに盛り込まれるのだろうか。

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