横並びとふるさと納税

急増する「ふるさと納税」利用者 久しぶりに佐伯市のホームページを見たら、新着情報・お知らせに「ふるさと納税 お礼の品をリニューアル」とあった。「寄付者の方々に大きな感謝を込めて300品目から約420品目に!内容も一新」とキャッチコピーがある。ふるさと納税については大分市議会でも質問があり、国東市議会でも話題になったようだ。ふるさと納税額も納税者も増え続けており、どこの議会も行政の尻をたたく形になっているようだ。

 ふるさと納税については、この日誌でも何回か取り上げている。例えば2016年4月7日付佐伯支局長日誌「ふるさと納税“競争曲”」など。

 個人的には税の使い方と、国が自治体間の競争をあおるようなやり方で「ふるさと納税制度」には問題ありと思っているが、現実はどんどん進んでいる。だから、議会も行政に発破を掛ける。

 上のグラフは総務省が7月28日に公表した「平成29(2017)年度ふるさと納税に関する現況調査」の資料である。これを見ると、ふるさと納税額はここに来て急増していることが分かる。

 前年(16年)1月1日から12月31日までのふるさと納税(寄付)とそれに伴う税の控除額を17(同29)年度と計上するそうだ。それによると、17(同29)年度はふるさと納税額が約2540億円で、納税者は約225万人(正確に言えばふるさと納税をしてその分税金が減った人)に上った。16(同28)年度は約1471億円で約129万人だったから、納税額で1000億円以上、人数で約100万人増えた。

 その前の15(同27)年度の約341億円、約43万人と比較すると、額は約7倍、人数は約5倍と急増した。

 大分県内で最も多い国東市には16(同28)年度に5万5千件を超すふるさと納税の申し込みがあり、国東市はふるさと納税で県内一に納税額は約24億9267万円に上った。前年の約3万1千件、11億円と比べると大幅増だ。国東市議会で質問が出たのは返礼品の見直しについて。同市の返礼品のキヤノン製デジタルカメラが高額だとして総務省から自粛を求められた。

 そのため、同市ではいったんデジタルカメラを返礼品のリストから外すことを決めた。しかし、総務相が代わって、現大臣は高額返礼品について一律に取りやめる(寄付額の3割までに抑える)とした総務省のルールに否定的などと伝えられている。

 ならば返礼品リストに留めておいていいのではないか、議会での質問はそんなことだったようだ。大分合同新聞8日付朝刊に小さな記事があった。

 国東市ではふるさと納税(寄付)を推進するための専門部署もある。前年度を大きく下回るような数字は出せない。納税額の数字を確保するためには、多少の経費がかかっても、よその自治体にはないもの、負けないものを“品ぞろえ”して、寄付を募ろう、数字を上げようと考えるのも当然である。

 ふるさと納税額が県内2位の佐伯市は新たな手を打った。ちなみに同市のふるさと納税額は16(同28)年度が約4億8932万円だった。テコ入れの一つが返礼品の一新である。もう一つがポイントである。同市の説明によると、これまでは納税(寄付)額1万円で25ポイントだったが、これからは1万円ならば1万ポイントを付与するという。特典として大きそうだが、このポイントの負担は佐伯市が負うということになるのだろう。

 長くなったが、大分市についても一言付け加えておきたい。大分市の16年度のふるさと納税額は約1億7千万円との答弁があった。同市もここに来てふるさと納税に力を入れ始め、専門部署も設けたようだ。返礼品はかつては8事業者18品目だったが、今や79事業者337品目に増えているとの説明もあった。

 競争を激化させるのは横並び意識である。「同規模の他都市ではどうか」。この日の議会でもこんな言葉がよく出てきた。「よそがやっているから、うちも」。行政に限らず、議会にも同じ発想がある。これが「ふるさと納税“競争曲”」をヒートアップさせる。このままのペースでふるさと納税が増えていけば、国はどうするのだろう。 

 蛇足だが、ふるさと納税は英語でどういうのか。ネットで検索してみた。DMM英会話に“Furusato nozei” is a tax reduction given to tax payers who donate to local municipalities-とあった。地方自治体への寄付に対する「減税措置」である。まけられるような税金があるならば、住民税自体を減税すればいいとも思う。

 自治体間の競争によって、みんなの取り分、パイ自体が増えれば、全員が恩恵を受ける可能性がある。だが、ふるさと納税は基本的にゼロサムゲーム(誰かが得すれば、その分誰かが損をする)であり、最終的にはタコが自分の足を食っているようなものだと個人的には思っているのだが、どうだろう。

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