斜面が崩れたミカン園

地滑りがあったミカン園 山の急斜面にあるミカン園というと人里離れたところを想像しそうだが、津久見市田尾のミカン畑は街中から遠くない。津久見高校をクルマで通り過ぎてまもなくの場所にある。「ミカン園崩落」「大分県津久見市」。日本農業新聞20日付朝刊にこんな見出しがあったので、記事を読んでみた。記事には、台風18号によって津久見市でかんきつに重大な被害が出ていることが明らかになった-とある。崩落した斜面の写真と生産者の話が掲載されていた。どんな状況なのか。現場に行ってみることにした。

 高速道路の津久見インターチェンジ(IC)の料金所を過ぎ、国道217号に下る取り付け道路で宮崎交通の大型バスを見た。8台ほど前にいる。先に津久見ICを降りて信号待ちをしていた。

 バスは国道217号を市街地方面に向かっている。運休のJRでは代行バスを走らせているそのままついて行く形となった。217号をしばらく進んで交差点を右折し、JR津久見駅へと向かう。日豊線が運休しているためにJRが「特急にちりん」の代わりに走らせるバスだと気が付いた。宮崎県延岡市の延岡駅と臼杵駅との間を1日7往復するようだ。

 このほか、臼杵―佐伯間でもバスを運行する。これは普通列車の代わりということか。ただ、バスの台数確保がままならず、通学する高校生が乗り切れないと大分合同新聞にあった。1日も早い日豊線の再開が待たれるところである。

 駅に来たので、その周辺も少し歩いてみた。歩けるようになった海岸通り18日はまだぬかるんでいた駅北側の「海岸通り」も泥が乾いて歩けるようになっていた。ただ、後片付けはまだ道半ばといったところか。水につかった家財道具などが近くの公園に運び込まれていた。駅周辺とともに津久見高校付近も被害が大きかった。高校では体操着姿の生徒が泥のかき出しや体育館の清掃などを行っていた。

 駅の南側に回るとフェンスにごみが付いていた。駅のフェンスに巻き付いたごみこれが一番水かさが増した時を示しているのだろうか。高さ1mはありそうだ。洪水ハザードマップ(浸水想定区域図)が予想した最悪の事態か、それ以上の浸水が起きたことは間違いなさそうだ。

 「何十年に一度の雨」が各地で頻繁に見られる状況を考えると、洪水対策の見直しは津久見だけでなく、全国の自治体に共通する喫緊の課題といえる。

 ここで、駅周辺を離れ、崩落があったというミカン園がある田尾地区へ向かった。津久見高校や津久見小学校などが面した道路をそのまま進むと、極早生ミカンが色づいていた左手に地肌を露出させた山の斜面が見えた。クルマを止めて坂道を上っていった。両側には収穫期を迎える極早生ミカンからまだ青々としたデコポンまで柑橘類が植わっている。高いフェンスが張り巡らされているのはシカ対策だろう。

 上まで行くとクルマが2台止まっていた。人の姿がない。目の前にある崩落した園地を写真に収めた。農業新聞の記事によると、30アールあった園地の3分の1が地滑りでえぐられたという。被害にあった園地には主に極早生ミカンが植えられており、19日から出荷を始めるつもりだったと記事にある。

 周辺も少し回ってみた。斜面を切り開いたミカン畑山の斜面を利用してあちこちにミカン畑がある。山頂に向かってミカン畑の真ん中を1本のレールが走っているところがあった。収穫したミカンなどを運ぶ運搬車用なのだろうか。

 さらに目を凝らしてみると石垣が積んである。ネットで覆われたように見えるミカン園その上にミカンの木があり、ミカンの木を乗せた石垣が階段のように山頂に向かって伸びている。園地全体がネットで覆われているように見えるところもある。カラスなどにミカンが食われないようにしているのだろうか。

 ざっと周辺を見回った限りでは、大きく崩落していたような園地はほかに見つけられなかった。見上げると東九州道があった果樹栽培は大変である。崩落した園地を復旧して、新たに苗木を植えても収穫まで時間がかかる。ミカンは津久見の特産品である。大きな被害を受けると、生産者がもう一度やり直そうという気力がわくか。そこが心配なところだ。

 道に沿って少し奥まで行くと頭上に東九州自動車道が見えた。数えきれないほど行き来した道だが、その下にミカン園が広がっていることを今日初めて知った。

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